英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

Fed内の異論

 曇り。昨日夕方から随分と涼しくなった。
 ジャクソンホール講演の続報。2つの地区連銀幹部が、年に2回の利上げに疑問をなげかけている。ロックハート、ブラードの2総裁だ。早ければ来月にも利上げが始まるとの可能性は低いのではないかと述べた。フィッシャー副総裁が利上げの可能性に言及した後の発言である。
 フィッシャー副総裁は金曜日にCNBCのインタビューに答え、イエレン議長の利上げに言及した発言について、それを補完するような発言を行った。この点、経済指標が良好であるなら、年末までに1回の利上げはありうるというイエレン氏とフィッシャー氏の発言に整合性は保たれている。
 しかし、土曜日に行われたWSJとのインタビューの中で、2人の地区連銀総裁はこうした見解に異論を唱えた。
 アトランタ連銀のロックハート総裁は、「カレンダー上は今年3回の会合が予定されている。私はフィッシャー氏の見解と同じではない」と述べた。そして、「もし経済指標が私の考える経済の理解と一致するのであれば、われわれは利上げについて9月の会合で真剣に話し合わなければならないだろう」と述べた。議論の焦点はグローバル経済のリスクではなく、米国内の経済であるという。
 一方、セントルイス連銀のブラード総裁は、次の利上げのタイミングがいつであるのか、不可知論の立場に立っている。今年2回の利上げは彼の見通しに合致しないと考えている。
 ブラード総裁は、「もし良いニュースが相次ぎ、他の総裁も利上げを支持するなら、私も賛成するだろう。しかし、1回の利上げなら良いが、その後も継続的に利上げを続ける考えには反対だ」と述べた。
 http://www.wsj.com/articles/two-regional-fed-chiefs-doubt-central-bank-would-raise-rates-twice-this-year-1472314715
 米国の中間層にかかるヘルスケア関連のコストが消費停滞を招いているという指摘。ヘルスケアコストの問題は、米国だけに限った話ではない。
 全体的なヘルスケア関連の支出は減速している。しかし、中観測の家計のシェアは大きくなっている。その結果、中間層の家計を財政的に厳しくしている。
 米国のGDPに占めるヘルスケア関連の支出は18・2%となった。2000年のこの数字は13・3%だったので、随分伸びていることになる。
 しかし、近年、メディケアに加入する人々の年齢が上昇し、オバマケアによって、低所得の人々に対する補助金が増加している。中間層の家計は、ヘルスケア関連の支出がよりポケットから出て行くようになっていると感じている。
 ハーバード大学のヘルスケアエコノミストである、デビッド・カトラーは、これは3種類のアメリカ人の話題であるかもしれないと述べた。一つのグループは、お金持ちで、ヘルスケア支出を容易に賄える人々だ。貧しい人々は公的な援助にアクセスすることができる。しかし、とくに中の下クラスのアメリカ人は、所得もかつかつで、ヘルスケア関連の支出が潜在的な問題になっていると分析する。
 ある試算によると、1984年から2014年までの30年間で、中間層のヘルスケア関連の支出は3%ポイント上昇し、8・9%まで増大した。
 2007年以降、基礎的な支出のうち、衣服や食品の支出は大きく減ったが、ヘルスケア関連の費用のみ大きく増加している。
 http://www.wsj.com/articles/burden-of-health-care-costs-moves-to-the-middle-class-1472166246
 これはイエレン講演の本文。タイトルは、「Fedの金融政策のツールキット。過去、現在、そして未来」である。
 http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/yellen20160826a.htm