英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

UBSの挑戦

 曇り。

 UBSは欧州のモルガン・スタンレーになれるか。クレディスイスを救済した後、スイスの銀行グループはウェルスビジネスで成功をおさめる必要がある。

 今月に入り、UBSは2日間にわたって同社のプライベートバンカーらとフェデラーらとの懇親を開いた。チューリッヒで開かれたこのイベントはUBSの48歳のウェルスマネジメントチームのトップがオーガナイズした。

 フェデラーはテニスのトッププレーヤーで居続けることの重圧を語った。アクティビストのビル・アックマン氏は20年にわたるUBSの主要顧客だが、UBSによるクレディスイス買収は世紀のディールであると述べた。

 マネジメントからの主要メッセージは、基本に帰れ、ということだと出席者は指摘した。電話を顧客にかけ、より多くの収入を得るべきだ、と述べた。UBSがクレディスイス買収を生かせるかどうか、48歳のカーン氏がウェルスビジネスをふかすことができるかどうかにかかっている。

 https://www.ft.com/content/e2f62a3b-7ca5-4115-a993-73ecb3d9ff75

Fedのチャレンジ

 晴れ。

 今週は日銀とFedの政策決定会合が控えている。Fedは十分なブレーキを踏むことになるのか。

 金融政策は引き締め過ぎではないかという議論は、経済の好調さによって弱まっている。しかし、この姿勢も将来は変化するすぐに可能性がある。

 Fedが2年前に金利を急速に引上げ始めたとき、住宅ローン金利は7%に到達すると考えられており、アラバマの住宅建築業者は死ぬことを恐れていた。

 しかし、その後、この住宅業者はもっとも利益を稼いだ。依然として市場の需要は非常に力強いという。それは在庫が十分でないからだ。

 今週、Fedはいつから、そしてどの程度金利を下げるのかの見通しを示す。鍵となる問題は、金融政策をどの程度引き締めるのかだ。というのも、この2か月間、インフレ率は予想よりも高い水準にあるからだ。

 一方、目標とするFFレートは相対的に高い水準にある。それは経済の現在の力強さが持続的なものではないことを意味している。もしそうであれば、利下げの可能性がある。

 変動が激しいエネルギーと食品を除いたインフレ率は昨年の前半は5%近くに上昇していたが、ここ数カ月3%を下回る水準にまで低下した。統計のラグがあるため、この状況が今後6か月間、続くかどうかがカギとなる。

 Fedは需要や雇用、賃金の上昇を抑えるために、短期金利を引き上げている。短期金利引き上げは株価や長期金利、住宅ローン金利に影響を幅広く与えることを通じて、作用を及ぼしている。経済を十分に力強い状態に保ち、インフレを安定させる金利水準を中立金利と呼ぶ。もし、成長やインフレを抑えるのであれば、Fedは中立金利より政策金利を引き上げる必要がある。

 エコノミストや経営者らは、足元の堅調な成長を見る限り、政策金利は中立金利を上回っていない可能性があるとみている。コロナ後は政府によるインフラ支出やグリーンエネルギー関連支出が大量に発生し、建設関連は仕事に困ることはなくなった、とボストン連銀のローゼングレン前総裁はいう。

 しかし、住宅部門以外はコロナ前の力強さはない。Fedが引き締めを開始し、確かに現状の住宅販売は足踏み状態にある。しかし、住宅価格は下がっていない。

 https://www.wsj.com/economy/the-feds-challenge-has-it-hit-the-brakes-hard-enough-a7760be6?mod=hp_lead_pos1

世界を脅かす野蛮なロシア

 快晴。

 野蛮なロシアが世界を脅かしている。西側諸国は、敵はプーチンであることをはっきり認識すべきだ。

 彼自身がモデルとしているツァーのように、ウラジミール・プーチン氏はもう6年ほどロシアの支配者としての地位を確立しようとしている。3月17日の選挙で彼は再選される予定だ。しかし、プーチン再選は西側諸国にとって目覚まし時計となるだろう。

 ロシアのプーチン体制は崩壊するどころか、強靭になっている。プーチン氏の野望はウクライナにとどまらない長期的な脅威となる。アフリカや中東において混乱を拡大させ、核兵器を空に打ち上げる可能性もある。西側諸国は乱暴なロシアに対処するための長期の戦略が必要だ。それはウクライナを助けることにもつながる。

 西側諸国の多くの人は、西側の制裁が効いていることを希望していた。しかし、ロシアは生き延びた。ロシアの強靭さの根底には、いくつかの基礎がある。ロシア経済は再設計され、石油輸出は制裁を逃れている。西側のブランド商品は中国やロシア地場のブランドにとってかわった。教科書やメディアには、ロシア国家主義愛国心が氾濫している。

 ロシア国内の反対勢力も力を持っていない。プーチン氏にとってもっとも脅威だった対抗的なカリスマ、ナワルヌイ氏は2月に殺害された。

 https://www.economist.com/leaders/2024/03/14/rogue-russia-threatens-the-world-not-just-ukraine

強気市場はバブルか

 曇り。

 強気市場が続いている。これがバブル相場に転換するのか否か。株価は上昇し、投資家は輝いている。しかし、同時に神経質になっている。

 2年前、壮大なバブルがはじけたことに相当数の人々が同意していた。超低金利の時代が終わり、すべての資産クラスの基礎を揺るがした。株価は低迷し、政府国債は打撃を受けた。仮想通貨市場はフリーフォール状態に陥った。

 インフレは終わり、安いマネーが調達できるという過去10年間のコンセンサスは、集団思考に陥った愚かなものだとみなされた。足元では懐疑主義と現金思考に主流の思考はとって代わっている。

 アメリカ株にとっての谷は2022年10月に到来した。それから1年半が経過し、ほぼ世界中の株式市場が高値を更新した。とくに米国株の回復ぶりは著しい。エヌヴィディアの時価総額はわずか数か月で1兆ドルを超えた。3月にはビットコインの価格も記録を更新した。こうした現象は中央銀行による金利引き上げのさなかに起きた。これはバブルなのか。

 多くの人々の頭に去来するのは、最近の強気市場ではなく、1990年代のそれである。当時はドットコムバブルが膨らんだ。現在も新たなテクノロジーが生産性や利益を大きく押し上げるという触れ込みになっている。

 当時の典型例がシスコである。エヌヴィディアのように、シスコも新しいテクノロジー時代において不可欠のハードウェアを作る存在とみなされていた。

 シスコはそれゆえに将来のバブルを象徴している。バブルは将来キャッシュフローを超えた経済条件で買うことにより生じる。その資産がいくらの価値を持つのかという問いは、窓の外に置かれている。問題とされるのは、将来いくらで売れるかのみである。つまり、人々がどれくらい熱中するかにかかっている。

 しかし、いまそうした熱狂は存在しないかのようだ。ゴールドマンサックスの推計によると、S&P500の上位10株の企業価値は、将来収益の25倍が平均であるという。ドットコムバブルの当時、この倍率は43倍だった。

 ユーフォリアも今は存在しない。

 https://www.economist.com/finance-and-economics/2024/03/11/is-the-bull-market-about-to-become-a-bubble

予想以上に力強いロシア経済

 快晴。

 ロシア経済は再び予言者の予言を覆した。選挙が近くなり、プーチン氏はインフレ率をコントロールできているように見える。

 プーチン氏がウクライナに侵攻してから2年が経ち、ロシア経済は予言を外すような動きをしている。金融システムが崩壊すると2022年春当初はみられていたが、問題なく機能している。経済はリセッションに陥っているが、当初予想されたよりも深刻ではなく、長くも続かなかった。

 インフレはほとんど大きな問題になっていない。昨年は物価が急速に上昇したが、エコノミストらはこれはコントロール可能な範囲を超えるとみていた。プーチン氏も懸念していたことだが、2月にプーチン氏は物価上昇に特別の配慮を、と述べた。

 3月13日に公表されたデータによると、2月の物価上昇率は0.6%に過ぎなかった。年率ベースではもはやインフレが加速しているとはいえず、いずれ4%前後に落ち込むだろうとみられている。

 ロシア大統領選挙の結果はすでに織り込まれている。

 ロシアのインフレ率は昨年、コロナ期より大規模な財政支出の影響を受け、大きく急騰した。ウクライナ侵攻を受け、すべての支出を増やしたからだ。物資やサービスの需要は、ロシア経済が供給可能な能力を超えている。労働者を見つけることは困難になり、数十万人が動員され、一部はロシア国外へ逃げているからだ。

 昨年10月まで、通常の賃金は年率18パーセントペースで上昇した。とくにヘルスケアや観光など労働集約型サービスでインフレ率は激しかった。

 これに立ち向かったのが財政当局だ。昨年、為替コントロールに成功した。輸出業者に外貨預入を義務付け、ルーブル安定化につなげた。しかし、中央銀行側は、こうした財務省の動きについて市場経済を危機にさらすものだと批判している。ロシア中央銀行金利を2倍以上に引き上げている。

 高金利により、ロシア国民は資金を貯蓄に回し、支出を抑えている。緊縮的な金融政策は貸し出し抑制にもつながっている。

 ただ、ロシア経済はいわゆるソフトランディングに向かっているようだ。経済のパフォーマンスはウクライナ侵攻以前のトレンドに戻りつつあるかのように見える。

 https://www.economist.com/finance-and-economics/2024/03/10/russias-economy-once-again-defies-the-doomsayers

ヨーロッパ「競争力危機」

 欧州諸国は競争力危機にさらされている。米国との生産性格差が広がっているのだ。

 米国の競争力は環境関連の財政支出、再雇用、そして新しいビジネスの勃興が大きく寄与している。

 アメリカと欧州の生産性を広がると、アメリカ優位の状況が加速している。EU側には「競争力危機」に対する懸念が広がり、政策当局者はより巨額の公的かつ民間の投資を訴えている。

 金曜日に公表された指標によると、ユーロ圏の第4四半期の生産性は前年同期比で1.2%落ち込んだ。同期間の米国のそれは2.6%の加速で、労働生産性の格差は過去20年間で米国がユーロ圏、英国の2倍になっている。

 米国はなぜ欧州よりも高い成長を続けられているのだろうか。理由の一つは人口の若狭だ。さらに労働時間も長い。しかし、最大の要因は1時間あたりの生産性の違いである。

 EUの政策当局者の懸念は深刻だ。公的および民間レベルの投資が米国と比べて劣っており、長期間にわたる失敗が反映されている。

 https://www.ft.com/content/22089f01-8468-4905-8e36-fd35d2b2293e