英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

利上げ見送り

 雨が降り続く。
 今日の未明、FOMCが開かれ、金利引き下げの見送りを決めた。Hilsenrath記者らによる報告である。3人の地区連銀総裁が利上げを主張して、反対にまわった。
 メッセージとしては、年末までに利上げに踏み切ることだ。いつ経済の刺激策を引き揚げるのかについて、幹部らの間の意見は分かれている。
 イエレン議長は経済の見通しについては上向きの評価を行った。今年前半の成長率はよくなかったが、次第に上向き、家計所得は堅実に伸びており、労働者も職を求めて労働市場にふたたび参入しているという。
 しかし、彼女は経済を冷やす利上げを急がなかった。なぜなら、インフレ率は依然として2%のターゲットを下回っており、まだ利用できる労働力が賃上げ圧力を抑えているからだ。
 利上げを求めるメンバーと、急ぐ必要はないとするメンバーとの間の妥協の結果、利上げは見送られた。メンバーらは、利上げのパスだけでなく、経済の長期見通しも引き下げた。現在は、今年1回、来年は2回の利上げを見込んでいる。6月の見通しではそれとは対照的に、今年は2回の利上げ、17年は3回の利上げを見込んでいた。
 イエレン議長は、こうした変化の数々は、生産性成長率が相当の期間、低いままでとどまりそうだ、という認識が背景にあると説明している。金利の見通しを引き下げることは、近い将来に成長が加速することはありそうにないという、一種のあきらめであるという見方もある。
 投資家は、今回の利上げ見送りの決定を暖かく見守っている。ダウ株価指数は163ポイント上昇し、債券価格も上昇した。
 イエレン議長にとって、今回の決定は、Fed内部の意見対立を調整するというチャレンジを示している。カンザスシティクリーブランド、そしてボストンの各連銀総裁が今回の決定に反対票を投じた。これほど反対票が多いのは、イエレン議長になって初めてのことだ。2014年12月にも3人の幹部が利上げ決定に反対している。
 今後のFedの行動を占ううえで鍵となるのは、リスク評価だ。イエレン議長は、今年に入り、毎月18万人の新規雇用を生んでいるのに、失業率が4・9%のままであることに注意を促している。非労働力人口だった労働者が労働市場に参入していることを示している。
 http://www.wsj.com/articles/fed-stands-pat-but-says-case-for-rate-increase-has-strengthened-1474481243?mg=id-wsj
 トランプ候補による、ある意味どうでもよい中傷について、イエレン議長が反論を試みている。21日の記者会見で、トランプ氏の名前に言及することはなかったが、用意されたメモに言及し、Fedは政策決定会合で政治について議論を行っていないと述べた。もちろん、政治を考慮に入れることもない、と述べている。
 過去5年間の会合に関する議事録を読んでみても、政治的な動機に関する何らの兆候もないだろうと述べた。
 http://www.wsj.com/articles/yellen-says-fed-isnt-playing-politics-with-interest-rates-1474487988