静かなるQEの手仕舞いが米国で始まっている。チャートをみればわかるように、Fedの保有する米国債のシェアが減少している。
はっきりしているのは、これは受身のQE縮小なのだ。つまり、Fedの保有している米国債の額は変わっていないが、市場に出ている米国債の総量が増えていることを意味している。にも関わらず、これは金融政策のポートフォリオチャネルにおけるQEの縮小だと言える。
日銀流にいうと、ポートフォリオリバランス効果のことを説明している。
そして、今やこのリバランス効果は反対方向に効き始めている。財政赤字が進行し、Fedの国債シェアは小さくなっている。さらに、この動きは海外の中央銀行によって一層強化されている。
今年前半の6ヶ月において、海外の中央銀行はネットで1920億ドルの米国債を売却した。前年同期比2倍のペースである。中国や日本、フランス、ブラジル、コロンビアが米国債売却を主導している。
こうした売却によって、米国債金利の上昇が引き起こされるのだろうか。答えはノーである。というのも、民間部門の国債需要は非常に強いからだ。民間需要が強いため、金利は歴史的な低水準にとどまり続けている。
別の言葉でいうと、中央銀行は長期金利の道筋を形成するのに、非常に重要な役割を果たしていないということだ。
これは安全資産の不足問題だ。
http://macromarketmusings.blogspot.jp/2016/08/the-unwinding-of-qe-has-begun.html