英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

緊迫ブレグジット

 晴れ。昨日の天気はひどかった。
 英国のEU離脱をめぐる国民投票の日が近づくにつれ、マーケットの混乱が激しくなりつつある。世論調査では離脱を支持する意見が勢いを増しており、マーケットのボラティリティが上昇している。
 月曜日のマーケットは、欧州から日本まで大きく株価が下がった。安全資産にマネーは逃避し、円は上昇。国債価格も上昇した。
 世界的に売りが広がった中、とくに欧州は脆弱だった。ここ数年、英国は欧州の主要経済の中でもっともパフォーマンスが良い国であり、エコノミストらはブレグジットは投資意欲に打撃となると予想していた。
 一方、欧州の銀行はここ数年金融面での混乱に苦しんできた。たとえば、イタリアの銀行は不良債権から抜け出せず、そこから抜け出すには経済の改善を必要をしていた。
 月曜日の欧州株式指標は1・8パーセント下落した。2月以降の上昇分を一掃してしまった。銀行株に至っては3%の下落だ。銀行株は成長見通しに影響を受けるが、とくに英国のEU離脱によってハブ機能を持つロンドンのオペレーションが影響を受けると考えられているからだ。
 月曜日の電話世論調査によると、50パーセントが離脱を支持し、残留支持は45パーセントだった。
 投資家の資金は欧州株式だけでなく、英ポンドからも逃げ出している。ネットショートのポジションが積みあがっている。そして、この混乱が国境を越えて広がることも懸念されている。
 代表例が円高だ。投資家の中には、英国離脱が決まれば、中央銀行や各国政府は下支えの対応に出るだろうが、ワーストケースシナリオに十分対抗できるほど迅速かつ十分に行動できない、とみる向きもある。
 http://www.wsj.com/articles/looming-brexit-vote-rattles-global-markets-1465846967
 今さら指摘するまでもなく、今週は重要イベントが目白押しである。
 Fed幹部はいま、次の短期金利利上げはいつかということを議論している。その一方、金利は今後数年間でどこまで高く挙げられるかという問いとも格闘している。
 いくつかの兆候をみる限り、過去よりも低い水準に新しいノーマルはあるようだ。Fed幹部たちはエンドポイントについて合意していない。それは一つには、なぜ近年自然利子率が低下しているのかについて理解が進んでいないからだ。そして、この問題に取り組んだスウェーデンの経済学者、ヴィクセルに多くの人が目を向けている。
 自然利子率とは、経済を過熱させることなく、潜在成長力を完全に活用するような利子率のことだ。そして、自然利子率は直接には観察できない。
 アダム・ポーゼン氏は「実際的なインプリケーションは、Fedの幹部がいつ自然利子率に言及するかだ」と述べている。多くのエコノミスト金融危機前、自然利子率を2パーセント近辺だと考えていた。今日、危機から7年経過したが、多くのエコノミストはそれをゼロパーセントか、マイナスなのではないかと考えている。
 このことは、FedベンチマークとなるFFレートを現在の水準から今後2,3年間でそれほど引き上げることができないことを意味している。
 今週のFOMCでは金利の変更はない見通しだ。同時に公表する新たな金利見通しが注目されている。長期の金利見通しはこのところ低下している。3月の見通しでは中央値は3・3パーセントだった。2パーセントのインフレ率を勘案した自然利子率は1・3パーセント。昨年6月は1・75パーセントだった。
 自然利子率の低下が恒久的なものなのか、それとも一時的なものなのか、よくわかっていない。
 http://www.wsj.com/articles/fed-decision-makers-wrestle-with-so-called-natural-rate-1465751241