英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

変わるFedの思考法

 晴れ。昨日は暑かった。
 米大統領選挙。クリントン氏がトランプ氏に対し、リードを広げている。世論調査によると、3つの激戦州のうち、ペンシルバニアでその差は11%ポイントも開いている。
 オハイオアイオワでは接戦となっている。 
 http://www.wsj.com/articles/hillary-clinton-leads-donald-trump-by-11-points-in-pennsylvania-gains-in-ohio-1470776427
 バーナンキ前議長が久しぶりに。
 ワシントンポストの記事の見出しは、「なぜFedはすべてを再考しているのか」というものだった。これはいま起きていることを非常にうまく捉えている。Fedはいくつかの主要な経済の側面について再考している最中である。再考することによって経済と金融政策の見通しの両方に影響を与える。
 この記事でバーナンキ議長はFedの経済に関する考えかたについて起きているシフトを説明する。バーナンキ氏はFedのSEPを使って説明を試みている。
 四半期ごとにSEPが公表される。とくに長期(Longer-Run)の見通しは、適切な金融政策と経済へのショックがない場合の数値が示されている。ここで注目はSEPにおける長期の3つの指標、成長率(y)と失業率(u)、政策金利(r)である。
 yは、いわゆる潜在成長率を示している。uは自然失業率を示し、rは中立均衡利子率を示す。
 ここで重要なのは、標準的なマクロ経済分析において、これら3つの指標はFedがコントロールできないことだ。潜在成長率は、生産性や人口成長率に依存し、自然失業率も労働者のミスマッチなどの程度に依存する。
 では、Fedの思考はどのように変化したのか。表が示すのは過去4年間の6月時点の3指標の数値だ。これをみるとわかるのは、Fedの見通しが変化していることだ。下方修正されている。
 なぜ彼らの考えかたが変わっているのかというと、ここ数年経済を見通す際のいくつかの過ちからきている。表にあるように、ここ数年、3つの変数を下方修正している。とくに過去1年間の下方修正は深刻だ。
 経済成長率が下方修正されているのは2つの理由がある。一つは、生産性。もう一つはフォーキャスターたちが経済成長について楽観的でありすぎることだ。彼らはその一方で失業については悲観的である。
 自然失業率の推計が下方修正されているのも、インフレ率が低下していることを大きく反映している。2012年において、FOMC参加者が推計した自然失業率は5・6%だった。しかし、5・6%を失業率が2015年2月に下回っても、インフレは加速していない。
 FOMC参加者の考えをハト派方向に変える2つの大きな要素が、利子率と自然失業率の下方修正だ。rの下方修正は、現在の政策金利を引き上げるほど事態は切迫していないことを意味する。また、uの低下も、インフレ率が加速するにはまだ時間がかかることを意味する。
 https://www.brookings.edu/2016/08/08/the-feds-shifting-perspective-on-the-economy-and-its-implications-for-monetary-policy/
 ワシントンポストにおける関連記事。
 https://www.washingtonpost.com/news/wonk/wp/2016/07/27/why-the-federal-reserve-is-rethinking-everything/