英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

37年ぶりのポンド安

 曇りのち雨。

 今週は経済のビッグニュースが相次いだ。

 英国が大規模な減税に踏み切った。それを受け、英ポンドが対ドルで37年ぶりの安値をつけている。金利が上昇し、株価が大きく下落。投資家は英国政府の財政政策にノーを突き付けている。

 英国政府は減税とエネルギーへの補助金政策を打ち出した。その結果、財政の見通しが持続不可能だとみなされている。

 10年ものの英国債金利は0.27%上昇し、3.77%をつけた。1週間で0.5%以上の上昇である。金曜日のポンド相場は下落し、1985年以来初めて、1.11ドルを下回った。クワーテン財務大臣が、所得税でもっとも高い45%の税率を廃止し、40%にすると発表したことを受けての動きである。同時にクワーテン氏は住宅を売却する際の税負担も減らすと述べた。

 さらに、消費者や企業向けにエネルギーコストを引き下げるために1500億ポンドの補助金を出すとした。

 これらの施策の財源は当然国債に依存することになる。英国の債務管理庁によると、計画されている債券発行額は2022年から23年の期間において、624億ポンド増えて、1939億ポンドになるという。

 投資家はイングランド銀行によるインフレ抑制策が、この金利上昇をさらに激しいものにすると予想している。今週の2年国債の利回りは、イングランド銀行の金融引き締めを予想し、0.8%ポイント上昇した。

 https://www.ft.com/content/e4a95eac-71bc-4da9-b029-200764179d0c

 イタリアのベルルスコーニ元首相。プーチン大統領によるウクライナ戦争を支持したことで、反撃を受けている。右派の政治家であるベルルスコーニ氏は、プーチン氏のことはゼレンスキー氏の更迭を望む唯一のリーダーだ、と述べた。

 イタリアの首相を3度務めたベルルスコーニ氏。プーチン氏を擁護したことで、批判を浴びている。イタリアでは間もなく、総選挙が行われる。

 木曜日の夜、テレビのトークショーに出演した85歳になるベルルスコーニ氏は、ロシアの指導者についてゼレンスキー氏を更迭することを望む唯一のリーダーだ、と持ち上げた。

 イタリアでは日曜日に総選挙が予定されており、この選挙の後、メローニ氏が率いる極右政党のイタリアの兄弟と連立政権を組むことになっている。今回のベルルスコーニ発言は、プーチン氏による軍事徴兵制が強化され、占領地域における住民投票や核攻撃の脅しが浮上した後に飛び出した。その結果、EU域内ではイタリアの新政権に対し、前任のドラギ氏よりロシアに宥和的なのではないかという懸念が浮上している。

 イタリアの中道左派の政治家はベルルスコーニ発言をこき下ろしている。右派陣営からも、ベルルスコーニ発言を解釈することはしないが、戦争には反対しているとして、この発言を暗に批判している。

 次の外務大臣と目されているTajani氏もベルルスコーニ発言に頭を痛めている。テレビインタビューを見る限り、ベルルスコーニ氏はプーチン氏に同情的で、紛争にむしろ陥れられたとしている。プーチン氏とベルルスコーニ氏は20年にわたる友人であり、ロシアとイタリアでそれぞれ休暇をともに過ごす仲である。

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