英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

想定以上に減速した9月の雇用回復

 9月の雇用統計結果が出た。賃金は上昇したが、解雇は増え続けている。労働力人口は減少、女性の雇用者が減少しつつある。

 米国経済をコロナウイルスが襲ってから6ヶ月、一度は回復しかけた経済は再び停滞しつつある。数百万人の米国人が依然として職につけていない。そして、さらに数百万人を労働力市場から追い出そうとしている。

 10月2日に公表された雇用統計によると、9月の新規雇用者数は66万1000人となった。事前の予想よりもずっと少ない数字である。

 雇用の増加は3ヶ月連続となったが、回復の規模がこの先もそれほど見込めないのではないかという懸念が広がる。コロナ危機前と比べ、雇用者数は1100万人も少ない。10年前のリセッションの際は、その数は870万人だった。それよりも深刻だと言える。

 秋に向かうに連れ、雇用回復のペースが劇的にスローダウンする、との懸念である。

 9月の雇用統計が芳しくなった一因は、公的セクターの雇用回復の遅れである。税収が落ち込み、地方政府の雇用も減少した。

 失業率は7.9%となった。4月には15%を記録していたので、劇的な低下とは言える。しかし、良いニュースは一時中断となった。というのも、70万人近くが労働力市場から退出したのだ。これは、もはや彼らは労働力とはみなされなくなったことを意味する。

 そして、今回の雇用統計は11月3日の大統領選前における、最後の雇用関係の統計となる。トランプ政権は今回の雇用統計の数字をポジティブに受け止めようとしている。クドロー氏はフォックステレビに登場し、人々が考えるよりも良いニュースだったと述べた。

 ただし、今回の雇用統計がどれほど選挙に影響するのか、よくわかっていない。しかし、エコノミストらは、今回のデータははっきりとしたメッセージを伝えている、としている。それは、議会でフェーズ4の歳出策をまとめない限り、経済はより悪化する、というものだ。

 https://www.nytimes.com/2020/10/02/business/economy/september-jobs-report.html