曇り。
米国の4月の失業率は何と14.7%に急騰した。2000万人以上の人が職を失った。
14.7%という数字は第2次世界大戦以来の数字で、コロナウイルスの流行により、2050万人の米国人が4月に職を失った計算になる。
米国の労働市場における暗い見通しは、数週間前に予想されていたよりも、深い景気後退の影響が長引き、回復には時間がかかるのではないかという見通しが浮上している。
この数字は同時に米国政府、とりわけ、ホワイトハウスから議会、Fedまで、より大規模で、より持続力のある景気刺激策が求められていることを意味する。トランプ政権と米議会はすでに、3兆ドル規模の経済刺激策を決めた。しかし、この刺激策も、6月~7月にかけては効果がなくなり始めると推測されている。
4月の非農業部門の雇用者数はエコノミストの事前予測に近い数字であった。3月の雇用減少数は87万人だった。
失業率は50年間にわたって低い水準で推移していた。エコノミストの事前予想では失業率は16パーセントだとみられていたが、それに近い数字となった。これは2009年から09年の金融危機の際は10%近くまで上昇したが、それを上回る水準である。
この結果、経済のV字回復シナリオは遠のいている。
雇用者数はすべての主要セクターで急激に落ち込んでいる。特にレジャー産業での落ち込みが顕著だ。このセクターだけで770万人が職を失った。教育やヘルスケアでも250万人が失業している。
一方、労働参加率は60.2%に低下した。社会的に距離をとらなければならない慣習が、職探しに影響を与えているとみられている。
10代の失業率は大きく跳ね上がり、4月は31.9%となった。
一方、失業率の上昇とは対照的に、賃金は増えた。レストランで働く人など、低賃金労働者が職を失ったことが影響している。
雇用統計について、市場の反応は複雑だ。長期国債は売られ、10年国債の利回りは上昇した。米国株はわずかに上昇した。しかし、「悪い数字だとは予想していたが、これほどだとは思わなかった」というのコメントは、市場のセンチメントをよく言い表しているだろう。
さらに悪いことに、5月の雇用統計はさらに悪いものになりそうだ。今回の雇用統計は4月18日までの状況しか繁栄されておらず、それ以降の悪い状況を完全に織り込んでいない。おそらく、失業率は20%に達すると思われる。
重要なことは、一時的に解雇された人が10倍増えて1810万人もいることだ。ゴールドマンサックスによると、過去50年間で一時的な解雇が多かったのは、3回の景気後退だった。その際は、急速に雇用情勢が回復した。そこで関心が寄せられているのは、これら一時的な解雇がどれくらいのスピードで戻るかだ。
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