英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

その場限り資本主義

 サマーズ氏。トランプ氏の政策は、その場限りの取引資本主義である、と述べている。
 米国の資本主義は主に、ルールと法律に則って運営されていると私は常々考えている。裁判所は契約と私的所有権を重んじる。税金は数学的な式によって計算可能である。企業と政府はもっとも安い入札価格で購入し、規制は事前に公表されたルールにのっとっている。
 汚職や権力の乱用、縁故主義から程遠く、われわれは、こうしたルールベースのシステムを当然のこととして受け止めている。
 しかし、米国の歴史を振り返ると、このモデルは常に当然の規範であったわけではない。多くの市場経済はその場限りの、取引ベースの資本主義であることがわかる。これはプーチンのロシアやスハルトインドネシアで起きている、あるいは起きていたことだ。
 http://larrysummers.com/2016/12/02/trumps-carrier-deal-ad-hoc-deal-capitalism/
 やはり気になるのが、ドルのゆくえ。2017年の大きな疑問の一つは、グローバル経済はこれ以上のドル高にどこまで耐えられるかである。トランプショックとFedの利上げは、来年のドル高期待を強めている。不幸なことに、ドル建ての債務と冴えない成長にあるグローバル経済にとって、これ以上のドル高進行はベストなタイミングではない。
 ドル高は2014年央から始まり、2015年後半まで続いた。このときドルは20%増価した。この急激なドル上昇は、Fedの利上げ発言と軌を一にしていた。ドルとユーロの金利スプレッドは開いているが、これが2017年も続くかどうかが焦点となる。この点、2014年から15年にかけてのドル急騰の経験が示唆的である。
 この点、中国がどこまで人民元安を許容するかが説明因の一つとなる。ドルが増価するにつれ、人民元安を予想した資金が中国からますます逃げ出す可能性がある。これは資本規制では解決できない。
 もう一つの論点が、Fedがエンドレスの、利上げサイクルにはまっているように見えることだ。BISによると、現在ドル建て債務は世界に10兆ドルもあると言われている。
 http://macromarketmusings.blogspot.jp/2016/12/can-global-economy-survive-stronger.html