英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

トランプの経済政策

 フランケル教授がトランプ陣営の経済政策について論じている。経済学的に正しくない、と。
 誰も、フィナンシャルタイムズの記事を非難できないだろう。彼(ウィルバー・ロス氏)が本当にトランプ氏のシニア政策アドバイザーであったとしてもだ。というのも、トランプ氏の政策は、彼自身の発言から判断できないからだ。たとえば、トランプ氏は米国人労働者の賃金が高すぎると本当に信じているのだろうか。
 多くの人々は、誰が経済アドバイザーなのか、見極めようとしている。それは、トランプ氏の考えについて、正確ではっきりした言葉で判断したいからだ。その意味でフィナンシャルタイムズに載ったステートメントは、私がみた範囲では最初の声明である。
 で、ロス氏は何を言ったのか。残念なことに、ロス氏の声明は経済理論に基づいたものではなく、定義や事実に類するものだ。たとえば、米国人の生産性は落ちていると3度4度と言及している。これは事実に反している。生産性は上昇を続けている。
 でも、その程度のことはまあ良いとしよう。ロス氏が意図したのは、生産性の成長率であり、それは今世紀に入って低下している。そして、そのことはたしかに問題である。問題は、彼がユニットレイバーコストの上昇を悪いことだと考えていないように思えることだ。
 こうした例を鑑みると、トランプ陣営にとって、定義や論理、事実はもはや重要ではないようだ。
 なんたる最後の皮肉。
 http://www.jeffrey-frankel.com/2016/09/02/column-by-trump-adviser-is-not-economically-literate/