英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

孤立する米国

 今日は曇り。明け方雨が降ったようだ。NHKの日曜討論をみる。参院選の最大のテーマである財政再建と消費税増税について、9党の責任者が議論。消費税増税ありきの超党派の議論は、なかなか難しそうだ。
 
 今日は久しぶりに、米国に焦点をあてた記事を紹介する。
 FT紙は25日付けで、オバマ政権の予算担当者(OMBディレクター)の辞任を伝えている。
 http://www.ft.com/cms/s/0/fa3f6bda-807d-11df-be5a-00144feabdc0.html
 彼、すなわちPeter Orszag氏は、オバマ政権における the guardian of fiscal conservatismであり、短期的には財政刺激策が必要だとするサマーズなどと対立していた。彼も、短期的な刺激策の重要性については認めていたが、長期的な財政再建についての考え方について、理解が得られなかった。
 米国は、財政再建についての考え方について、欧州(ドイツなど)と対立しているだけでなく、政権内でも意見の対立があることになる。
 オバマは、2008年の選挙で、年収25万ドル以下の家計への増税はしない、と約束していた。この世帯は、全米の98パーセントにのぼる。25万ドルというバーは、随分高い気がするし、日本の民主党の公約と一緒で、非現実的な約束を掲げたな、と感じる。Orszag氏が、この公約は破られなければならない、と考えたとしても不思議ではない。
 G20では英国が財政緊縮と増税に踏み切ることを表明し、主要国の中では米国のみ財政政策的には緊縮に舵を切っていない国になる。
 一方、金融規制のニュースも。米国下院で金曜日、190億ドルのlevyを銀行界に課す法案がまとまった(finalized)。
 http://www.ft.com/cms/s/0/ace38f1e-8001-11df-91b4-00144feabdc0.html
 finalizedの意味は、可決した、という意味なのか不明だが、続く文章から判断するに、可決ではなく、下院の意見がまとまった、という意味のようだ。
 内容としては、銀行界にとって、勝利と言える側面もある。コアキャピタルの3%を上限に、ヘッジファンドプライベート・エクイティ子会社の保有は認められた。
 しかし、インハウスの自己勘定取引(ファンド)については制限がかけられ、ゴールドマン・サックスは100億ドル、モルガン・スタンレーは30億ドル縮小しなければならなくなる。
 大半のデリバティブは、運用を続けることが認められたが、一連の改革費用をまかなうために、190億ドルの課税が課せられる(ただし、一度きり)。
 政府に、金融システムに影響を与えるような破綻金融機関を閉鎖する権限を与えた。FRB内部に、消費者向けの金融商品を監視する新機関も創設する。
 法案が成立するには、来週、オバマ大統領と上院が認可する必要がある。

 米銀行業界への規制という暗雲が晴れたせいで、銀行の株価は上昇した。
 プロップトレーディングを分離させるというボルカールール案と、スワップ取引部署を分離させるという2本の柱は、当初案より緩やかなものになったという。
 190億ドルの課税についても、想定より寛大な額だったようだ。デリバティブ取引も、現状の7割程度はこれまで通り取引できるという。コアTier1の3%までのヘッジファンドやPE保有についても、銀行経営にそれほどの影響はない、との見通しが出ている。唯一の例外はゴールドマン・サックス
 預金保険の対象となる預金上限は25万ドルに引き上げられた。これは興味深い。
 
 欧州情勢に眼を転じると、相変わらずストレステストの話。実施されると、1年前の米国のように、資本増強が必要になる、という話。
 http://blogs.ft.com/money-supply/2010/06/25/stress-test-guesstimates/

 早いもので、6月も終わりに近づいた。平日もう少し日記をつけられるよう努力したい。そして、将来は英語で日記をつけてみようと思っている。