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商業用不動産への警告

 晴れ。

 商業用不動産価格について。銀行は不動産融資について引当金を積み増している。オフィス価格の下落が大きい。

 米国の銀行は下落し続けている商業用不動産の価値を心配している。銀行のバランスシートに及ぼすリスクについてもだ。

 オフィスの価値は特に金利上昇と多くの従業員が在宅勤務を選好するようになって低迷している。しかし、金融機関の経営者らは投資家に対し、不動産の保有は分散されており、大きなシステムリスクにつながる可能性は小さいと言って、安心させようとしている。

 今週、ステートストリート銀行のCEOは、オフィス市況に関心を寄せていることを明らかにした。すべての不動産が平等に影響を受けているわけではなく、とくにAクラスのビルは持ちこたえており、賃料は下落しているが、トラブルになっているほどではない。

 問題は影響がオフィスセクターから、他の不動産セクターへ広がるか否かだ。

 銀行の第1四半期の収益にはすでにストレスがかかっている兆候が存在する。ウェルズファーゴは先週、商業用不動産ローンの不良債権比率が50パーセント上昇したと述べた。金額は15億ドルである。モルガンスタンレーも商業用不動産と経済見通しの悪化を前提に、引当金の積み増しを表明した。

 モルスタのゴードンCEOは、銀行危機にはないが、かつてはそういうことが起き、いくつかの銀行は危機のさなかにある、と述べた。

 商業用不動産ローンの資産に占める割合は、小規模銀行だと40%にもなる。

 投資家の間には、オフィス価値が20%下落と予想する向きもある。カリフォルニアの教師年金システムの幹部は、そのような見通しを出した。

 バンクオブアメリカの調査によると、窯業用不動産発の信用危機の可能性がもっとも高いという。IMFによる今月の報告でも商業用不動産が焦点になっていると指摘されている。

 問題の組み合わせは、不動産価格の下落と金融引き締め、市場の流動性の枯渇である。ブラックストーンやピムコはここ数カ月、オフィス投資を中断した。借り入れも、借り換えができないリスクが高まっている。

 MSCI不動産の調査によると、今年1~3月のオフィス絡みの取引は過去10年間で最低水準に落ち込んでいる。ただし、3320億ドルの不動産運用資産を持つブラックストーンのトップは、物流やホテル、住宅、データセンターなどの不動産のパフォーマンスは好調である、と述べている。

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