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「半導体不況」は長期化する

 過去何年もなかったような半導体不況がやってこようとしている。

 半導体市況の悪化は想定よりも長引きそうだ。自動車部品の需要は弱まっており、パソコンやスマホ需要の落ち込みと相まって、半導体市況を悪化させている。

 半導体メーカーは、10年ぶりの急速な産業の落ち込みは予想していたよりも長引きそうだと考えている。自動車部品の需要が弱まっているせいだ。

 台湾の半導体製造企業であり、世界最大の半導体メーカーは今週、市場回復が見通しよりも悪いと述べた。2009年以来、初めて年間の売上が落ち込む事態に陥っている。

 コロナ危機のさなか、半導体部品の不足が広がり、電気製品の需要増加と相まって需給がひっ迫した。半導体の在庫は昨年夏から積みあがってきていた。

 2023年の上半期は半導体の在庫調整が始まり、それが長期化しそうだとTSMCのCEOは述べている。木曜日に発表された四半期カンファレンスコールでの発言である。今年の第3四半期までこの調整は長引く可能性があるという。

 2021年対比で2022年は43%、売上が伸びた。しかし、2023年は前年対比で減少に転じる見通しだという。

 この暗鬱なTSMCの見通しは、半導体産業協会(SIA)が今月初めてに出した統計を反映している。世界の半導体売上は2023年2月に前年同月比で20%落ち込んだのだ。

 https://www.ft.com/content/6973aa75-0e25-49b8-b59d-5e8d38faa6b2

 SIAによる報告。4月6日付け。2月の半導体売上は1月と比べて4%減少した。前年同月比だと20%の落ち込みである。我々が目にしているのは、典型的な半導体サイクルの落ち込みである。過去の落ち込みと比較すると、2008年~2009年のリセッション局面よりも大きな調整になるかもしれないという。

 特にPC産業の打撃が大きい。消費者や企業ともにPC需要が落ちている。来月公表されるAppleの数字によると、四半期の売上は5%ダウンとなりそうだ。iPhoneの需要が弱く、マックの売上も厳しい。

 個別家電で半導体不足が続く一方、自動車向け部品は今年に入り、供給不足が続いていた。しかし、半導体業界にとって唯一の光を見せていた自動車業界も、影が差している。

 https://www.semiconductors.org/global-semiconductor-sales-decrease-4-month-to-month-in-february/