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サンフランシスコの商業用不動産危機

 晴れ。

 米国のサンフランシスコで商業用不動産の安定性が揺らいでいる。デフォルトが出ているせいだ。

 市内で最大のショッピングモールやホテルがローンの支払いを止め、鍵を引き渡す事例が相次いでいるのだ。市内でもっとも価値のある不動産がこのような事態になっている。

 今週、ウェストフィールド&ブルックフィールド不動産が5.5億ドルのローンの支払いを止めると発表した。彼らは2002年からサンフランシスコで無秩序に広がるダウンタウンのモールを所有していた。

 その数日前にはニューヨーク株式市場上場のパークホテル&リゾートが、サンフランシスコのホテル2棟の所有権を譲渡すると発表した。これらのホテルは15億ドル以上の価値があるとみられていた。

 これらの事象はサンフランシスコにおけるオフィスやホテル、住宅、商業施設の不振のサインである。コロナ禍以降、サンフランシスコは深刻な旅行需要やビジネス旅行需要の落ち込みを経験してきた。テック企業は業容縮小を迫られ、住民も市内から逃げ出している。犯罪やドラッグ、ホームレスの問題も深刻である。

 パークホテルのCEOいわく、サンフランシスコの回復の道のりは依然として不透明であり、多くのチャレンジが続いている。ウェストフィールドに入居しているノルドストロムは、犯罪活動により退去した。

 今回のデフォルトによって、市内の商業用不動産のファイヤーセールに火をつけかねない。融資をする業者は資産を軽くし、債券投資家を守るためにエクスポージャーを減らそうとするだろう。多くの場合、CMBSを通じて、大手の不動産融資者、すなわちJPモルガンなどの大手銀行はシンジケーションしている。

 https://www.ft.com/content/d0c0fd7b-e2fc-4da3-a698-4b959efa1bfd

 「60/40」と呼ばれる資産運用業界においては標準的な資産配分モデル。株式と債券の配分割合を示したものである。バンガードが1977年以降の状況を調べたところ、債券と株の価値がともに二桁下落したのは、2022年のみだったという。それ以外のすべての年は両方がプラス領域にあるか、一方のロスは1桁にとどまっていたという。

 60/40のポートフォリオの平均的な年リターンは6パーセントだった。

 投資家にとって重要なのは、目標、時間軸、リスク許容度を考えて、適切な資産配分を決めることであるという。

 最近、ブラックロックはフィクストインカム資産の見直しを提言した。「グレート・イールド・リセット」と呼ぶ。新しい時代の資産配分として、債券ETFに注目すべきだという。

 https://www.ft.com/content/8b6221f8-daa4-4cd9-8c76-58c8e0f7fff0