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恒大集団ショック

 晴れ。

 ある意味事前に予想されていたことだが、中国の不動産デベロッパー・恒大集団に絡む売りが出て、株式市場は大きく下げた。

 世界中の株式市場で売りが出て、恒大集団の支払い期限が焦点になっている。中国の恒大集団が流動性危機に陥っている。売りはアジアから米国、欧州に広がっている。

 S&P500っ数は1.7%下落した。月曜日には最大2.9%の下落となったが、午後の取引で若干売りを吸収した。

 売りは市場全体に広がり、わずか50銘柄のみが上昇した。特にエネルギー関連株の下げがきつく、テクノロジー中心のナスダック指数は2.2%の下落だった。

 話題の中心であるエバーグランデ自身は香港市場で10%安で引けた。関心は中国の不動産セクターの健全性に向かっている。ハンセン指数の不動産セクターは7%近く下げた。これは2016年以来の水準である。

 エバーグランデは、債権者や取引先に対し、3000億ドル以上の債務を抱えている。木曜日にはオフショア向け債権の金利支払い期限が到来する。

 米国や世界の株式市場は今年、高値を繰り返し高進してきたが、今月に入り、経済成長減速の懸念から下げが始まっている。デルタ変異株や中央銀行のテーパリング観測も影響を与えている。

 エバーグランデの株価は、先月にデフォルトリスクを警告されて以来、下落したままだ。

 投資家の一人であるアリアンツ系のファンド責任者は、エバーグランデに対する心配は米国については限られている。しかし、このトラブルはラクダの背中からストローで吸い出すようなものだ、と表現した。買いを続けるなかでの一時的な下げなのか、それとも長い下落局面の始まりなのかだ。

 これに対し、債券市場では10年米国債は0.05%、金利を下げた。米国債への安全資産の投資が続いた格好だ。

 センチメントの悪化は、社債市場にも重くのしかかる。ハイイールド企業の社債に投資するETFは、2か月ぶりの下げとなった。デリバティブ市場におけるハイイールド社債のヘッジコストも上昇した。投資家は神経質になっている。

 エバーグランデは氷山の一角に過ぎない、という指摘もある。中国の不動産デベロッパーは現在、ドル建て社債の支払い圧力に悩まされているという。その結果、銀行にも影響する。連鎖危機の懸念である。

 月曜日には平安保険の株価も8.4%下落した。

 https://www.ft.com/content/952923b7-f421-407e-b14a-ad2ff190a134