英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ユーロはどうなる?

 IMFの機関紙より。ユーロの将来に対する悲観論である。 
 ユーロ圏の経済は恐ろしいことになっている。リーマンショック直前の2008年第1四半期と比べ、2013年12月時点のユーロ圏GDPは3%ほど少なくなっている。米国を同じ時点で比較すると、6%ほど増えているのと対照的だ。アイルランドでは8%、イタリアは9%、ギリシャに至っては12%も減少している。
 欧州の人々はこうした悲惨な数字に慣れっこになってしまった。それゆえ、こうした数字を目にしてもショックを受けなくなった。これは政策の失敗の証左である。
 労働移動が自由でないこと、財政政策が統合されていないこと、加盟国ごとの成長や物価が異なるのに、金融政策(政策金利)が一緒であること・・・。ユーロ圏の問題点は、最適通貨圏(optimal currency area)の理論によって以前から指摘されていた。
 危機から5年が経過し、事態は一向に改善しない。クライシスマネジメントはびっくりするほど貧相である。また、銀行同盟や財政同盟の議論は遅々として進まない。
 欧州はこのままでは持続不可能である。解決策は2つしかない。一つは、一気に連邦政府に移行するか、もう一つは統一通貨のない欧州連合に回帰するか。後者は、資本規制やいくつかの国においてデフォルトを生じさせることになる。
 こうした選択は確かにコストを伴うが、いつまでも先延ばしするわけにはいかない。
 http://economistsview.typepad.com/economistsview/2014/03/whither-the-euro.html