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パウエル議長に続け

 曇り。

 ECB幹部は、インフレを抑えるには「犠牲」が必要だと訴えている。シュナーベル氏の発言だ。

 つまり、雇用や経済成長への悪影響はむしろ必要悪であるという考えのようだ。もし必要な措置がとられなければ、物価上昇はコントロール不能になってしまう、という考えである。

 ECBのイザベル・シュナーベル理事らは土曜日、ECBはそれなりの長い期間、引き締めを続けるべきだと述べた。ジャクソンホール会合での発言である。金曜日にはパウエル議長がインフレ抑制のため、金融引き締めを続けるべきだと述べたばかりだった。

 まさにパウエル議長に続けといわんばかりの発言である。

 多くの先進国ではここ数十年みられなかったような物価上昇が続いている。1980年代と比較して、中央銀行はより高い犠牲に直面しているように見えると述べる。シュナーベル氏は物価圧力をコントロールするために、中央銀行は「インフレの国際化」とも言うべき困難に直面しているという。

 犠牲比率は、物価抑制と成長と雇用の関数だ。別のECB理事は、いわゆる自然利子率を超えて金利を引き上げることに疑問はない、と述べている。ここで想定されている自然利子率は1から2%の間にある。

 政策金利は今年末にはこの利子率に到達する可能性があると述べ、ECBの意思と能力は無条件である、と述べた。

 ユーロ圏の物価は8月に9%に達し、記録を更新している。シュナーベル氏はインフレ率を目標に早急に近づけるために、力強い決断を求めている。このインフレのしつこさを甘くみると、それが過去1年半起きたことだとしているが、そのコストは相当なものになると述べている。

 ECBは先月、8年に及ぶマイナス金利政策を終了させた。0.5%利上げして政策金利をゼロに戻し、9月の会合では0.75%の利上げが検討されている。

 シュナーベル氏はドイツの経済学教授で、2020年にECB入りした。

 https://www.ft.com/content/5afd5140-605f-447d-a30c-cc7355ceea59