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ラガルドの覚悟

 ECBのラガルド総裁。インフレと闘うと、より強いメッセージを発した。インフレ期待が高まっており、それを抑え込むために非常なチャレンジが必要である、と述べた。

 ポルトガルのシントラで開かれたECBの年次総会の席で、ラガルド総裁は「ユーロ圏のインフレ率は望ましくないことに高騰し、今後しばらくは高止まりし続ける見通しだ」と述べた。そして、ECBの金融政策にとって、大きなチャレンジであると述べた。

 インフレ圧力は幅広く拡大し、同時に激しくなっているという。今年の賃金上昇率は倍増し、4%に達している。供給網のボトルネックも継続し、ウクライナ戦争に伴って生じた高いエネルギーコストと商品価格は終わる兆しがないという。

 ECBは7月の会合で、2011年来となる利上げを予定している。同時に、インフレ見通しが急速に改善しなければ、9月の前に0.25%の利上げを開始するという。金曜日からは、債券買取額を増やさないようにする。5月のインフレ率は8.1%を記録している。

 大半の西側諸国の中央銀行が利上げに踏み切る中、ECBの預け入れ金利はマイナス0.5%のままである。9月にはこの利率が0%になるとしている。

 ラガルド総裁いわく、ECBは決然とした、かつ持続的なやり方で行動する必要があると述べた。これまでは徐々に利上げをすると強調していたのと比べると、大きくシフトしている。

 ここには漸進主義は適切でないというラガルド総裁の判断がある。インフレ期待のアンカーが外れ、あるいはより経済リソースの利用可能性を限定することで、経済成長を損ねてしまう恐れがある。

 ECBはバランスのとれた行動に直面している。インフレへの対処とイタリアのような弱い国の債務問題だ。ECBの中のタカ派委員は7月の会合で0.5%ポイントの利上げを強く主張している。

 今月ECBは緊急会合を開き、ユーロ圏内の債券市場に分断が起きており、それに対処するための新しい手段に取り組むと発表した。

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