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ジャクソンホールのパウエル発言

 晴れ。

 ジャクソンホール講演。パウエル議長はオンライン講演でバランスのとれた発言を行った。

 パウエル議長は金曜日、ジャクソンホールでシンポジウムに臨んだ。2018年に議長に就任して以降、もっともはらはらさせる講演でもあった。

 経済が力強く拡大していると同時に、コロナ感染拡大と相まってインフレ率が高まり、資産価格が急騰していること、さらには600万人の米国人が依然として職につけていないことを踏まえ、パウエル議長は金融緩和策の縮小に踏み出す考えを示した。

 年内にいま毎月1200億ドルずつ購入している資産の規模を縮小させることを示したが、米国株式市場は上昇し、国債価格も下げなかった。

 Fedは以前から、2%の平均インフレ目標と最大雇用という2つの目標に実質的な進展がみられるまで、債券買取のペースを維持すると述べていた。それに対し、パウエル議長は金曜日に、これらの基準をまず満たしており、二番目に進展もみられていると述べた。

 シカゴ大学のラジャン教授は、パウエル議長に期待されているバランスのとれた説明だったと評価する。

 パウエル氏の任務は非常に複雑なものだった。FOMC内のタカ派陣営は、インフレ圧力はより高いとみなしており、金融市場はより懸念すべきバブル状態にあるとしている。

 カンザスシティ連銀のジョージ総裁はセントルイス連銀のブラード総裁とともに、10月にテーパリングを開始すべきだと述べている。クリーブランド連銀のメスター総裁は2022年後半までに資産買取は終了すべきだと主張している。

 パウエル議長は具体的にどのような時間軸でテーパリングを始めるか示唆しなかったが、最近の消費者物価の上昇は時間とともに減退していくとの見通しを述べた。ただ、サプライチェーンの制約は予想よりも長引いている。

 パウエル議長はいずれにせよ、相当な忍耐と不屈の精神、Fedに対する大量の信任を必要とする。投資家の一人は、いずれテーパリングはマーケット的にはイベントととらえられないようになる、とみる。

 投資家たちはすでに、Fedは11月にもテーパリングをアナウンスし、12月に開始するとみている。金曜日のパウエル発言によって金利も反応していない。

 https://www.ft.com/content/ced45222-f266-4d48-b754-e960e8581c94