いまのワシントンの雰囲気は、完全雇用を熱望する気持ちで満ちている。債務やインフレのことを心配する雰囲気は吹き飛んでいるようだ。
今週、バイデン氏が次期大統領に正式に就任する。FRBとともに新政権は単一の経済政策の目標に向かって突き進む。それは雇用市場をコロナ前の状態に戻すことだ。
11カ月前の雇用市場は、3.5%の失業率であり、労働参加も順調に、かつ安定的に進んでいた。賃金も堅実に上昇し続けていた。その結果、貧困率を押し下げ、長期的に阻害されていた集団に、経済的に成功するチャンスを与えていた。
物価もコントロール可能な水準にとどまっていた。
しかし、コロナ後は失業率を記録的な水準まで押し上げた。続く感染拡大により、経済の回復も阻害されている。数百万人もの労働者が以前として労働市場の外に置かれたままにある。
政策担当者が一致しているのは、こうした人々を職に戻すことが中心的な政策課題であるということだ。
バイデン氏は、その政権の焦点を労働者においていることで明快だ。その結果、労働経済学者であるイエレン氏を財務長官に据えた。労働長官には依然、労働組合のリーダーであったウォルシュ氏を据えた。
これまでの議員やFed幹部らは、インフレに配慮しつつ、こわごわと労働市場の改善を目指していた。だが、今回はそうした遠慮深さは吹き飛んでいる。
バイデン氏と民主党は議会の主導権を握ることで、政府の債務により気にしなくなっている。そして、Fedも今回は利上げにより忍耐強く挑む見通しだ。