PSより。ルービニ教授の警告。スタグフレーションを伴う債務危機が近づいている、と。
何年にも及ぶ超緩和的な金融政策と財政政策の発動により、今後数年の世界経済は何とかゆっくりとした成長軌道に戻りそうだ。しかし、こうした状況がクラッシュすると、1970年代のスタグフレーションと債務危機とあいまって到来する可能性がある。中央銀行はおそらく対応不能な状態に陥るだろう。
4月にルービニ教授は1970年型のスタグフレーション危機が起きると警告した。高いインフレとリセッションが同時にやってくるタイプの経済危機である。しかし、実際にはこのリスクはより大きくなっている。
結局、先進国も新興国も債務比率は1970年代よりも低い。物価上昇が高水準の債務の実質価値を一掃してしまえば、先進国の公的債務の重荷は軽くなる。
2007年から2008年に起きた金融危機の際は、高い公的および民間債務の比率が深刻な債務危機を引き起こした。しかしこの時は低いインフレを伴うリセッションであった。
しかし今回はこの2つの事例と状況は異なる。まず、債務比率は1970年代よりも非常に高い。そして、緩和的な経済政策がデフレではなく、インフレに火をつけようとしている。今後数年にわたって警戒すべきは、債務危機を伴うスタグフレーションである。
アメリカの公的債務が急上昇していることを警戒すべきだ。スタンフォード大のボスキン教授。短期的には力強い経済成長がバイデン大統領を守ることになるだろう。しかし、政権の経済見通しが過度に楽観的だと、それに大統領は後悔することになるだろうと説く。
アメリカは上昇し続けている公的債務を押さえる必要がある。しかし、バイデン大統領はそれとは正反対のことをあえて行おうとしているようだ。
2008年の金融危機後、オバマ大統領は第2次世界大戦以降としては最大規模の財政赤字を計上した。その後継者であるトランプ大統領はオバマ氏を上回る財政赤字を計上した。
しかし、バイデン氏は前任の2人を上回る規模で行おうとしている。米国の公的債務はGDPの107%にのぼる。しかも、経済が完全雇用に戻った後も、長きにわたって赤字が続くような状態になりうる。
2026年までの5年間、バイデン政権は財政赤字のGDP比を5.9%で続ける方針だ。この赤字水準は2008年まででわずか1度しかない。失業率が10%を超えた1983年のときのみだ。しかし、現在足元の失業率水準は1983年当時よりも低い。