ドルの途方もない特権の時代は終焉した。米国内の貯蓄減少と経常収支赤字により、ドルの崩壊は避けられないという論旨である。モルガン・スタンレーアジアの前会長で、現在エール大のステファン・ローチ氏。
1960年代にフランスのジスカール・デスタン財務相、後の大統領がなぞを解いたことがあった。米国はドルの特権を持っており、世界の残る地域の生活水準を引き上げる支援を自由に行っているとした。しかし、その特権は消滅しようとしている。ドルの崩壊は近く起き、2021年末までに35%ほど減価するだろう。
その理由は何か。米国内の貯蓄の崩壊と経常収支赤字である。2020年の第2四半期には貯蓄はマイナス領域に陥る。これは世界金融危機以降、初めてのことだ。
それに伴い、経常収支も赤字となる。米国は資金を補うために海外からの余剰貯蓄を使って借り入れを増やす。経常収支赤字はGDP比で3.5%になるだろう。
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