英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

トランプフレーション

 晴れ。快晴である。
 トランプ後、新たな均衡に向けてマーケットが動き出した。
 まずトランプフレーション。次から次へと新語が生まれる。トランプの経済政策により、インフレが起きようとしている。
 もちろんいますぐにではないが、いずれ発生する。減税や公共投資拡大は債券市場に大きなインパクトを与えたが、彼の政策はグローバルな経済の見通しを限定的にしか変えない、という。
 グレッグ・イップ記者のレポート。
 債券市場は二進法の生き物だ。すべてのイベントをインフレ的か、それともデフレ的かで判断する。トランプショックについては前者と素早く判断した。それ以降、10年国債金利は3分の1%ポイント上昇し、その半分はインフレ期待の上昇によるものだ。
 これは過剰反応である。大統領や政策はUターンすることができても、インフレや経済成長はすぐにそういうわけにはいかない。米国と世界は2009年以降、低成長と低金利から逃れることができない。そして、トランプの政策はせいぜい限界的にそれを変えるだけだろう。
 記事に添付された図表は、依然として世界は過剰貯蓄状態であることを示している。
 一見したところ、トランプ氏は我々を新しい財政濫費の世界に導こうとしているようにみえる。彼の提案する減税により、今後10年間で6兆ドルの赤字が生じる。世界は過剰貯蓄状態であり、投資が不足している。今年、中国とユーロ圏、日本は経常黒字だ。合計するとおよそ8500億ドル。それは米国の経常赤字でバランスがとらえている。
 しかし、実際にはそれほどの規模にならない可能性が高い。それゆえに成長に与えるインパクトはずっと小さなものになりそうだ。減税は企業や富裕層に恩恵を与えるに過ぎない。マクロ試算では成長率を押し上げる効果は0・2%ポイントに過ぎないという。トランプ氏はオバマ氏が直面したのと同じ現実に直面するだろう。
 2009年と異なり、完全雇用に近い状態の経済において、財政刺激が与える効果は限定的だ。しかし、それゆえにインフレ率が急騰する前提条件は十分整っている。
 それゆえにFRBの対応が重要になる。タルーロ理事は火曜日、そのような財政刺激があったとしても、インフレになるとは私は思わない、と述べた。
 財政刺激はFedの利上げプロセスを急かすことになろう。しかし、それが終わりではない。長期的にみて、金利は人口の高齢化や生産性の減速により、低下したままだからだ。
 http://www.wsj.com/articles/trump-isnt-likely-to-rescue-the-global-economyor-wreck-it-either-1479317018
 トランプ新大統領下において、最大のリスクは貿易戦争である。米国経済を予測している専門家たちは、経済成長を押上、より高い金利とインフレをもたらし、国際的な貿易戦争を含む潜在的なリスクをもたらしうると警告している。
 政権の変化は、米国経済を低成長、低温の衛星から脱出させるインパクトがある、と評価する研究者もいる。問題は脱出後、そのまま高温経済に移行するのか、それとも低温経済に再突入するのか、だ。
 http://www.wsj.com/articles/gdp-inflation-and-interest-rates-forecast-to-rise-under-trump-presidency-1479054608