英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

EUの危機

 EUが悪い形の危機に陥っている。エコノミストより。

 70年前にフランスの外務大臣シューマンによって提案された6か国の共同体構想。その統合への道のりは凸凹したものだったが、一定の意味ある方向に向かっていった。ベルリンの壁崩壊や経済危機など、アップダウンはあっても、何とか前進してきた。

 その統合度合いは単一市場の誕生によってより深化し、人々は国境を越えて自由に行き来し、共通通貨も誕生した。加盟国も広がりをみせ、22か国が現加盟の6か国に加わった。このうちの11か国は共産主義体制下にかつてあった国々だった。

 平和と繁栄が広がり、欧州は自由主義という価値と資本主義の象徴となった。

 しかし、そのEUが混迷している。コロナ危機は単なる経済危機にとどまらず、政治的、憲法上の危機に達している。加盟国は、同盟をより強靭なものにするために必要な政策において合意できないでいるばかりか、改革あのやり方さえ見失っている。

 米国と中国が言い争いを続けている中にあって、EUはせっかくの機会を失う悲劇となっている。

 危険だらけの世界にあって、EUに加盟することは国家に安全をもたらすものだと考えられていた。2007年以降の金融危機がその紐帯を示す良い事例であった。

 一つの事例が単一市場だ。厳格な補助金ルールを課しているが、企業が崩壊するのを助けるために、2兆ユーロを注ぎ込んだ。

 もう一つが単一通貨である。ロックダウンの影響を和らげるには、当然債務は急上昇する。

 https://www.economist.com/leaders/2020/05/14/the-european-union-is-having-a-bad-crisis