メルケル首相とマクロン首相による歴史的な動きが出てきた。欧州復興ファンドに対するドイツの姿勢が大きく変化した。いくつかの要因が重なっている。
EU経済の危機とECBによる動きが、歴史的なマクロンとメルケルの5000億ユーロプログラムを生み出した。
メルケル首相のキャリアの中で、これほどのUターンは珍しい。その宣言は予期しない形で起こった。
月曜日にメルケル首相とマクロン大統領は、5000億ユーロに及ぶEU復興ファンドの創設を提案した。欧州経済をコロナ危機から救い出すためだ。予算作成が苦しくなった加盟国に対し、資金を融通する。これはEUの歴史にとってターニングポイントとなる出来事だ。
2か国の首脳とEUのフォンデアレイエン委員長は、「フルーガル・フォー」と呼ばれるオーストリア、デンマーク、オランダ、スウェーデンの説得に動きだしている。だが、何よりももっとも力強い連携は、独仏間の連携である。
ドイツ政府高官によると、この決断の瞬間は2週間前に到来した。5月5日、ドイツのカールスルーエ憲法裁判所がECBの債券買い取りプログラムに違憲の判断をくだしたことがきっかけだった。
ここ数年間、EUはECBに危機対応を依存してきた。それは逆にいうと、各国政府は財政的な支援や負担を負わなくてよいことを意味した。ECBは何かまずいことになっても、非難を引き受ける便利なスケープゴートであった、ということだ。
マクロン氏もメルケル首相の提案に唖然としたようだ。ベルリンは常に、こうした資金拠出のアイデアに反対し続けてきたからだ。貧しい国から豊かな国への所得移転は、ベルリンにおいてタブーに近い話題であった。
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