英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

遠い4%成長

 米国経済の現状。GDPはパッとしない成長に戻ってしまった。
 トランプ大統領は、税制改正規制緩和によって4%成長を目標に掲げているが…。
 2016年の成長率は結局およそ2%程度にとどまった。パッとしない傾向はトランプ大統領登場によってすぐに変わるものでもない。第4四半期のGDP成長率は季節調整値で1・9%にとどまった。2016年の前半は成長が減速し、第3四半期は3・5%だったが、再び成長率が落ちた。
 リセッション以降、平均的な年間成長率は2・1%であり、2016年の成長率もその線に沿ったものとなった。
 2016年第4四半期の内訳をみると、消費は堅調だった。企業の設備投資も上向き、住宅建設も回復した。連邦政府や地方政府の公的支出は力強い。貿易赤字が広がっていることが成長の重しになっている。
 最新の経済指標を見る限り、年率4%成長へ拡大させると約束したトランプ氏が直面する力強い成長へ障害が立ちはだかっている。
 ある共和党議員は、オバマ前大統領の言うニューノーマルは受け入れがたい、と述べている。これは共和党政権であれば、米国の潜在的な経済成長力を解き放つ準備があるという自信の表れでもある。
 トランプ氏自身は、税制やインフラ投資、連邦政府による規制緩和、新たな貿易協定を廃止することによって、成長を加速させることができると議論してきた。
 経済予想をしているエコノミストらは、来年はやや成長が加速すると予想している。しかし、エコノミストの多くは依然として、長期の成長力が大きく上方シフトすることについては懐疑的である。
 Fedのイエレン議長は先週、さまざまな力が供給と需要の両方を下押ししていると指摘した。この中には労働供給だけでなく、労働者の生産性の低さも含まれている。こうした下押し要素が今後数年間の成長を阻害すると述べている。これはすなわちベビーブーム世代の引退により、労働力人口の伸びが減速するためだ。
 問題は、トランプ氏の掲げる減税やインフラ投資などの政策が、短期的な成長を押し上げるだけでなく、長期の成長力そのものを押し上げるのか否かだ。バークレイズのエコノミストは、長期のトレンドを変えることは不可能ではない、と述べている。重要なのは詳細であり、タイミングである。
 未知のものは、Fedがどこまで経済を加熱させるつもりなのか、ということだ。過去と異なり、米国経済、先進国経済は謎でもある生産性の減速に見舞われている。80年代や90年代は生産性が上向いた上、女性の労働参加率も上昇していった。
 http://www.wsj.com/articles/u-s-gdp-grew-1-9-in-fourth-quarter-1485524015