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ノーベル経済学賞

 ノーベル経済学賞が発表された。今年は契約理論の2教授(オリバー・ハート、ベニグト・ホルムストロム)に授与された。それぞれ英国とフィンランド出身の経済学者である。
 経営者にパフォーマンスベースの報酬を払うべきかから、公共体を民営化すべきかまで、この理論は幅広い範囲の問題に応用できる。
 ホルムストロム教授は長らくノキアの幹部だった。現在はMITを拠点に活動している。研究テーマは報酬とパフォーマンスをいかに結びつけるかというモデルづくりと、リスクとインセンティブをうまくバランスをとった最適な契約についてだ。
 ハート教授は金融危機に際しての政府の対応に批判的だった。シカゴ大学のジンガレス教授とともに2008年12月、銀行救済を優先し、経済学者は原則を放棄したと批判した。
 2015年の論文では、2人の教授は銀行システムに大きなショックが起きた場合、よりよい対応は人々を救うことであり、銀行を救うことではないと述べた。危機の際の政府の対応として正しいのは、流動性のない個人を救うことであり、金融機関の救済ではないということだ。
 ホルムストロム教授は最近シャドーバンクをテーマに執筆している。
 http://www.wsj.com/articles/nobel-prize-in-economics-awarded-to-oliver-hart-and-bengt-holmstrom-for-work-on-contract-theory-1476093193