英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

矢は尽きたのか

 エコノミスト誌の最新号。いつものことながら、世界経済の現状をうまく捉えて風刺している。
 政治家云々という最後の主張は同意するが、その途中の分析には首を傾げるところがある。
 中央銀行家たちの弾薬は尽きつつある。しかし、経済を刺激する他の選択肢が存在するという。
 世界の株式市場は弱気相場に踏み入れつつある。市場が混乱するときに、資金の逃げ場となっている金は、今年過去30年間でもっとも良いスタートを切った。銀行のCDSは上昇し、米国ではリセッションの懸念が浮上している。Fedはゼロ金利に戻らざるを得ないかもしれない。
 とりわけ一つの懸念が市場を徘徊している。それは、先進国の政策が、経済が弱まりつつあることについて機能しなくなっているという懸念だ。金融危機以降、需要を刺激するという任務は中央銀行の仕事になった。その頂点となったのが、ECBがユーロを救うためには何でもする、と言った2012年の発言だ。
 しかし、中央銀行の努力にも関わらず、回復は弱弱しく、インフレ率も低位にとどまっている。金融政策に対する信任は揺れ動いている。それどころか、時には中央銀行家自身が恐れをつむいでいる。
 欧州と日本のマイナス金利がそうだ。銀行が十分な収益が上がらず、株価が下がるのではないかと投資家たちを不安にさせている。量的緩和は結果として新興国の債務を膨れ上がらせ、それが巻き戻しされるのではないかと恐れられている。
 ただ、良いニュースもある。低成長、低インフレであっても経済を元気付ける方法はまだあるのだ。悪いニュースもある。それは、中央銀行は政府の助けが必要というものだ。
 つまり、今こそ政治家が中央銀行家たちと一緒に戦いに加わるべきだ、と主張している。もっとも過激な政策は、財政と金融政策を融合することだ。一つの方策はいわゆるヘリコプタードロップ、中央銀行が直接引き受け財政ファイナンスすることだ。
 もう一つは、政府が直接介入し、賃金や物価設定を行うことだ。
 これらのすべての政策にリスクが伴う。
 そこで浮上するのが、よりリスクの少ない手段、財政政策だ。多くの国にとって、借り入れを増やす余力がある。特にドイツがそうだ。ドイツの倹約癖は有害ですらあるという。
 http://www.economist.com/news/leaders/21693204-central-bankers-are-running-down-their-arsenal-other-options-exist-stimulate