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インフレが続く危険性について

 曇り。

 中央銀行がインフレに目覚めると何が起きるか。グッドハート教授らの論考である。

 いま起きている小規模なインフレは、中央銀行が掲げる2022年末のインフレ目標に近づきつつある。しかし、このインフレは想定よりも長く、かつ高い水準のまま続く恐れもある。このコラムでは中央銀行や金融政策の緊急対策プランを議論する。

 著者らが警告するのは、急激な政策転換があると、金融市場に深刻な下方圧力を与える恐れがあり、公的部門のバランスシートを棄損する恐れがあるというものだ。その代わりに中央銀行はより高いインフレが起きた場合に備え、詳細な計画を立てておく必要があると警告している。とくに名目金利が上昇する世界においてバランスシート問題に焦点を当てた政策の重要性についてである。

 ECBがシントラで開いた最新の会議において、著名な中央銀行家は今の一時的な要因がより長く続くことについて言及した。しかし、主流派経済学者らは、今のインフレが長く続く危険性については否定的である。

 しかし、インフレは中央銀行が来年末に見込む水準に近付きつつある。言い換えれば、インフレは一時的だが、やや長くなりそうだ。このことが正しい予測となることを祈ろう。

 しかし、この予測が間違っていた場合のことを考えておく必要がある。つまり、2022年半ばまでにインフレが落ち着かない場合のことだ。その場合、インフレ期待は全般的に高まり、労働力不足が続く可能性のことだ。また、仮に労働力不足がなくても、労働者がより高い賃金を要求する事態のことだ。

 失業率は減少傾向が続き、実質金利はマイナス領域に低下したとすると、インフラ整備や脱炭素投資へのニーズが高まり、公的部門の赤字は歴史的に高いまま、とどまるのか。金融市場はFedに対し、2022年9月までに利上げを期待している。そして、2023年にかけて4~5回の利上げを想定している。BEIインフレ率は現在、2.7%近辺で推移している。つまり、市場は今後数年間、実質金利はマイナスで推移しそうだ。

 https://voxeu.org/article/what-may-happen-when-central-banks-wake-more-persistent-inflation