英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

クルーグマン教授の懸念

 クルーグマン教授。米国大統領選挙におけるヒラリー候補の経済政策を批判的に論じている。長期停滞論に関する論考でもある。
 クリントン氏が世論調査でリードしているが、クリントン氏の混乱症候群はまだ生きている。もし共和党がトランプ氏以外の候補を指名していたなら、彼女はひどい敗北を喫したであろう。もちろん、わからないことではあるが。しかし、我々がわかっている一つのことは、トランプ氏のライバルの誰もが、分別のあり、穏健な保守派候補であれば良い勝負をしたであろうことだ。
 ルビオ候補がかつて、印象的なことを言ったことがある。すなわち、オバマ大統領はアメリカをダメにしたということだ。これはトランプ氏が「オバマがISISをつくった」と主張したような発言とは異なる。ジェブ・ブッシュ氏も印象に残る発言を行った。彼はアメリカの成長率を倍増させると言ったのだ。
 そこで本題。クリントン氏の経済政策についてだ。先週、彼女は要約版の政策を公表した。これは中道左派的な政策であった。高所得者所得税を上げ、金融規制をさらに強化し、社会のセーフティネットをさらに強化するという。
 しかし、彼女の経済政策の中で、経済成長の加速というのは優先度が高いのであろうか、という疑問が湧き上がる。米国の経済は金融危機以降、回復に向かっているが、長期の経済成長率は低迷している。いくつかの理由の一つは人口要因であるが、生産性が非常に急速に落ちている。
 CBOの推計によると、潜在成長率は1990年代に3・5%近くあったのが、1・5%近くまで減少している。
 http://www.nytimes.com/2016/08/15/opinion/wisdom-courage-and-the-economy.html?partner=rss&emc=rss&_r=1