英字紙ウォッチング

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クリントン一家の蓄財

 晴れ。
 米国の大統領選挙について。クリントン候補が減税を約束した。トランプ氏への対抗策である。同時に、クリントン夫妻は夫婦で連邦所得税を2015年に34%を負担し、所得のうち約10%を寄付したと主張している。
 しかし、この記事はクリントン氏の納税申告書を通じて皮肉な点を指摘しているように読める。ヒラリー氏はトランプ氏が大統領になると、金持ち優遇の国や税制になると批判しているが、そのヒラリー氏自身お金持ちで、多くの所得を得ているという点だ。
 2015年におけるヒラリー・クリントン氏の納税申告書をみると、大統領選挙のキャンペーンの始めたことで所得が大きく減少していることがわかる。同時に連邦所得税率がより効率になっている。こうした主張を行うのは、クリントン一家の蓄財に対する厳しい検査に直面しているからだ。
 申告書によると、クリントン候補と夫であるビル・クリントン氏は昨年、調整後の総所得が1060万ドルあった。講演料や著作、ビル・クリントン氏のコンサルティング活動が主な収入源だ。
 金曜日に開示されたこの情報は、納税申告書の開示を拒んでいるドナルド・トランプ氏に圧力をかける狙いがある。トランプ氏は監査が済むまで開示ができないとしているが、もしそうなると、1976年以降の大統領候補として、初めて納税申告書を開示しない大統領候補となる。この点でも異例さが際立つ。
 クリントン一家の所得は2014年は2800万ドルだった。IRSによると、1000万ドル以上の所得がある納税者は平均で26%の所得税を支払っているが、クリントン一家は35%納税している。
 一方、クリントン一家は所得の約1割を寄付している。寄付の行き先の大半がクリントン家財団だ。これは2001年に設立され、いわゆるクリントン財団とは異なる組織である。
 ある税歴史家によると、ヒラリー氏はフォード大統領以降でもっとも高い所得税を負担している。これはお金持ちにとって衝撃的な負担率だという。
 ただ、納税申告書の開示は同時に、2013年に国務省を退いて以降の多くの講演を含め、ヒラリー氏にとって不愉快な指摘も浮き彫りにしている。たとえば、6つの講演によって150万ドルを集めている。
 http://www.wsj.com/articles/hillary-clinton-releases-2015-tax-returns-paid-34-effective-federal-rate-1471017626
 今後の米国の経済カレンダーにおける注目点。ここ数週間の経済統計は強弱入り混じった結果が出ている。今後もしばらくはこのはっきりしない状態が続くだろう。Fedの7月会合の議事要旨や講演が出るが、少し手がかりを与えてくれるかもしれない。
 注目点の一つは議事要旨。今週水曜日に公表される。Fed幹部は早ければ9月の利上げの可能性を否定しておらず、そのことが議事要旨で明らかになる。幹部たちが何に関心を示し、楽観論が何に起因するのかが、議事要旨によって判明する。
 2つめはFed幹部らの講演である。ロックハート、ブラード、ウィリアムズ各総裁らの講演が今週予定されている。とくにウィリアムズ、ロックハート総裁はイエレン議長に近く、彼らがどのように注意深く利上げを進めるのか、その説明ぶりが注目される。
 3つめはインフレの動向だ。原油安とドル高、経済成長の鈍化によって、2%の物価目標を大きく下回っている。しかし、6月の消費者物価指数はインフレ率が底堅いことを示した。食料とエネルギーを除いたコアインフレ率は2・3%上昇した。7月の数字は火曜日に公表される。
 4つめは住宅市場。危機からの回復局面において、住宅市場はもっとも明るい市場だったが、ここ数ヶ月減速の兆候がみられる。
 5つめは製造業の活動である。
 http://blogs.wsj.com/briefly/2016/08/12/5-things-to-watch-on-the-u-s-economic-calendar-16/