このブログ記事は非常に興味深い。
マイナス金利とFTPL、つまり物価水準の財政理論との関係について。ジョン・コクラン教授。
教授は過去20年間、この理論の研究を続けてきた。この理論は根本的に何を言っているかというと、マネーは政府が税収を受け取りゆえに価値を持ち、中央銀行の通常の政策手段には限界があり、インフレは根本的に財政的な現象であるという点にある。
教授は1970年代以降、こう考えてきた。インフレが再び発生し、中央銀行がインフレを止めるのに無力である時代が到来し、FTPL理論が再び脚光を浴びる時期がやってくると考えている。さらに、電子マネーがMV=PYという公式を無効にしてしまうだろうという。
しかし、ここへきて、この2つの予測は間違っていたかもしれないという。インフレではなく、ディスインフレ、もしくはデフレがFTPLへの注目を高めている。
この考えは2つのエコノミスト誌の記事から触発された。一つはエコノミスト誌の「Out of Ammo」であり、もう一つは、「Unfamiliar Ways Forward」である。
では、もしあなたがインフレを起こそうとしたら、どうしたらいいのだろうか。超低金利か?それとも大規模な債券買取か。はたまた、フォワードガイダンス?高いインフレ目標?これらはいずれも効果はなさそうだ。では、政府はいったい何ができるのだろうか。
「Out of Ammo」は、次のように説明している。公共支出、もしくは減税をマネープリンティングによって行う。つまり、ヘリコプタードロップだ。
しかし、政府がすべての有権者のポケットに100ドルずつ落とすと宣言し、同時に財政均衡をうたえば、その政策は効果がない。財政均衡の宣言により、有権者に配った100ドルは明日には税金という形で徴収されるからだ。
その点、ヘリコプタードロップは賢いメッセージを送る政策だ。いわば、われわれは向こう見ずになります、と宣言するようなものだからだ。
http://johnhcochrane.blogspot.jp/2016/02/negative-rates-and-ftpl.html