英字紙ウォッチング

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新興国のディスインフレ

 曇り。

 世銀のエコノミストらの分析によると、1970年代と比べ、新興国経済と市場のインフレ率は大きく低下した。それは、金融政策のしっかりとした枠組みができたこと、世界貿易が強化されたこと、金融市場の統合が進み、世界経済危機による混乱のせいだ。

 しかし、このコラムでは、低く、かつ安定したインフレの継続は保証の限りではないと論じている。もし構造的、かつ政策と関連した要素が勢いを失えば、再び高いインフレ率が戻ってくるという。

 折れ線グラフにあるように、先進国のみならず、新興国のインフレ率の低下は著しい。1970年代に二けた台だった消費者物価指数の上昇率は、2018年には3%にまで低下した。

 2017年までに新興国の4分の3の国が、中央銀行が定めたインフレ目標の範囲内に収まっている。先進国のインフレ率の低下は1980年代半ばから始まった。そして、新興国では1990年代半ばから始まった。

 では、こうした低インフレ状況は何が要因となっているのだろうか。一つはグローバル危機がインフレ率を押し下げていることだ。しかし、それ以外の多くの構造要因が長期的なディスインフレ傾向を主導している。大きいのは、金融、為替、財政の各政策フレームワークが透明化し、効果的になっていることだ。

 インフレ目標政策を掲げた国のインフレ率は低い傾向にある。そしてそれは、より独立性を持ち、透明性の高い中央銀行のもとで達成されている。

 財政政策のフレームワークが変化したことも寄与している。世界の88の国で財政ルールが採用されており、そのうち新興国は49を占める。

 貿易を通じて世界経済各国の統合が進んだことも大きい。グローバルなバリューチェーンは、グローバルなディスインフレコストショックを伝える役割を果たしている。

 しかし、低インフレ率は当然のことと受け取るわけにはいかない。

 https://voxeu.org/article/great-disinflation-emerging-and-developing-economies