英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

融解する中間層

 米国の5人に1人は貧困層以下かそれに近い状態にあるという。中間層が融解しつつある、という警告。
 新たな貧困層、あるいは貧困に近い層の多くは、金融危機の起きた2011年以降に新たに貧困層に加わったとみられる。FTとピュー・リサーチセンターの集計による。
 この事実は、Fedが利上げをする上で考慮に入れなければいけない要素である。米国経済は回復しているというが、多くの米国人にとって、それが実感されていないことを示している。トランプ氏のようなポピュリスト政治家が登場する背景にも、こうした事実がある。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/c3de7f66-9f96-11e5-beba-5e33e2b79e46.html#axzz3uAOEPfDd
 ポルトガルを訪れているクルーグマン教授。債務と人口の負のスパイラルについて。
 ポルトガルは200年代半ばをピークに急速に労働人口が減少している。これまで通貨同盟内においては、労働移動が自由になったほうが良いと考えられてきた。それは、同盟内において、ある国においては経済ブームが起き、それ以外の国で不況が起きても、労働が自由に移動するのであれば、ショックを和らげることができるからだ。
 しかし、労働移動が自由になれば、税収基盤はどうなるのか。好況の国に労働者が移動すれば、残った高齢者の面倒を誰がみるのだろうか。流出した国外労働者の分の税負担を残った人たちが負うことになり、結局「死のスパイラル」が起きてしまう。
 どこか極東の国のことを述べているかと思った。
 http://krugman.blogs.nytimes.com/2015/12/12/debt-and-demographic-debt-spirals/?_r=0
 IMFのディレクター、オブズフェルド氏らによる寄稿。
 ドル高が進行しているので、ドルベースで計測した世界のGDPは縮小しているように見える。
 貿易で加重平均した通貨バスケットベースと比べて、米ドルは13パーセント増価している。ドル以外の通貨、ユーロや日本円で計測しなおすと、15年の世界経済はむしろ成長している。
 http://www.voxeu.org/article/choice-numeraire-matters-when-calculating-world-gdp-growth