英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

世界で最低賃金が引き上げられている

 晴れ。連休もあと2日である。

 世界の最低賃金の動向について。アテネからソウルまで、世界中の政府が最低賃金を引き上げつつある。複数年にわたる賃金上昇の鈍さと不平等が拡大していることについて、有権者の関心が高まり、それを満たすためだ。

 最低賃金引上げのメリットをコストが上回るまで、どの程度の水準まで引き上げることが可能なのだろうか。

 主要国においては、その数値は賃金の中央値のおよそ60%だとされている。もし最低賃金がこの水準を超えた場合、企業は低賃金労働者を雇用するインセンティブを失い始め、代わりに労働を自動化する動きに出るとされている。

 英国において、ハモンド財務大臣が3月に25歳以上の労働者についての賃金の中央値の60%を超える水準に、最低賃金を引き下げる意向を示した。韓国政府もすでに最低賃金を2017年以降、30%引き下げている。韓国のそれは現在時給7.2ドルである。

 米国でも議会の民主党が、連邦最低賃金を時給15ドルまで引き上げる法案を準備している。

 最低賃金を、賃金の中央値と同じ水準に設定すれば、雇用に大きな影響を与えることになる。なぜなら、それは労働市場の下半分を、一つの賃金に押し付けることになるからだ。

 中央値の50%あるいは60%という水準は、富裕国における世界平均である。しかし、その結果は国によって大きく異なる。

 フランスとポルトガルでは最近に至るまで、富裕国においてもっとも高い最低賃金だった。そして、両国とも何年にもわたり、若年層の失業率の高さに苦しめられてきた。OECDエコノミストも、中央値の60%が正しいレベルなのか、わからないという。

 OECDのデータによると、ハンガリー最低賃金を中央値の36%から57%まで引き上げた。この改革により、1割の最低賃金労働者が職を失い、残る9割の労働者が50%の賃金上昇の恩恵を得られた。この結果を踏まえ、失業のデメリットよりも、賃金上昇のメリットの方が大きい、と結論づけることもできる。英国でも、最低賃金引き上げはメリットの方が大きいと結論づけられている。

 ドイツでも最低賃金が設けられたが、雇用に影響はほとんどなかったと結論づけられている。しかし、これで低賃金労働者のトータルの所得が増えたかというと、そうではない。時給が上昇する代わりに、労働時間が減少するからだ。

 https://www.wsj.com/articles/world-governments-test-minimum-wage-raises-11556962201?mod=hp_lead_pos3