英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ドル高不安

 雨。パソコンの調子が再び悪い悪い。本当になんとかならないものか。
 ドルの急速な値上がりが新興国市場に対する不安を引き上げを引いている。トランプ大統領の誕生後、新興国通貨が不安定になっている。インドネシア中央銀行はドル売りルピア買いの介入を行った。メキシコ中央銀行も翌日もの金利を5・25%に引き上げ、中国の国営銀行も人民元安定化の介入を行っている。
 メキシコペソ、ブラジルレアル、マレーシアリンギットの対ドル相場の動きが興味深い。
 ドルは対ユーロに対し、いわゆるパリティに近づいている。10日間連続で上昇した結果だ。欧州共通通貨が採用された1999年移行、長らく続いてきた傾向の結果である。ドルは対円でも上昇し、5月30日以降で円はもっとも弱くなった。
 ドル高の程度は多くの新興国通貨に対してはもっと大きい。多くの国の中央銀行がドル高の傾向を和らげようと介入に出ている。メキシコペソはドルに対して11%も下落し、選挙後でもっとも安くなった。ブラジルレアルは6・3%下落だ。
 ドル高は、米国の消費者にとってみれば、海外から輸入するものが安くなり、海外旅行も割安で楽しめる。そして、日本や欧州からの輸出にとっては追い風になる。しかし、ドル高が米国の企業収益の伸びを抑制し、新興国からキャピタルフライトする懸念を再び強める危険性がある。
ドル高は、新大統領による歳出増加と減税の提案によって米国経済が成長するとの期待に刺激され、さらにFRBの利上げ観測も後押ししている。イエレン議長は木曜日、中央銀行は比較的すぐに行動するだろう、と述べた。
 このドル高の速さが、各国中央銀行の反応を巻き起こしている。インドネシア中央銀行は過去1週間でドル売り国債買いの介入を何度も繰り返した。メキシコ中銀は木曜日に政策金利を引き上げた。
 しかし、エコノミストたちは、中央銀行の市場介入する力は限定的だとみている。マネーがドルに流れ込むのを食い止めることはできないというのだ。
 新興国市場は今年、4090億ドルという記録的なドル建て債を発行している。ドル高でこの償還負担が重くなる危険性がある。同時に、金や原油などドル建ての商品の輸出がプレッシャーを受ける可能性もある。
http://www.wsj.com/articles/strong-dollar-could-be-rallys-weak-link-1479474002