英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

為替レートはやはり重要である

 やはり為替レートは貿易にとって重要であるという指摘。IMFエコノミストたちの分析だ。彼らの研究によると、10パーセントの実質実効為替レートの減価は、実質輸出の増加を通じ平均してGDPを1・5パーセント押し上げるという。
 為替レートの変化が貿易に影響しないという議論は、グローバルなバリューチェーンを重視した議論から生じている。バリューチェーンがグローバルに展開し、それぞれ分かれてしまっていることにより、一国の為替レートの変化が単純に貿易に反映しないのだ。中国におけるスマートフォンの組み立てがその典型例だとされる。
 また、日本の輸出が円安が進行したにも関わらず、2012年以降増えなかった謎も、こうした議論を下支えしている。
 彼らの分析は50以上の先進、新興国市場のデータを過去30年にわたって用い、分析していることに新しさがある。
 http://www.voxeu.org/article/exchange-rates-still-matter-trade
 EUの統合進化のプロセスを考えるには、東西ドイツ統合の経験が非常に参考になるという。ミュンヘン大学の教授による論考だ。
 現在、フランスのオランド大統領とマクロン財務大臣が共通の予算を持つ財政同盟を提案している。
 ドイツの経験から言えるのは、財政同盟を急いてはいけないということである。現在、旧東ドイツの都市はきれいに整備され、統合は政治的にうまくいったと思われている。しかし、旧東ドイツの生産性は過去20年間でほとんど向上していないことを忘れてはならない。東ドイツと西ドイツの収斂の動きは1995年初めにはすでに終わっており、旧東西格差は残ったままだ。
 http://www.voxeu.org/article/german-reunification-lessons-european-fiscal-union