ドル高は常に良いことか。
ルー財務長官をはじめとして、米国財務省の立場は、強いドルは好ましいというものだ。その説明をこのところ繰り返している。海外中央銀行による相次ぐアクションにより、確かにドルは高くなっているが、本当にドル高は良いことなのだろうか。
儀式的にさえ見えるドル高志向は、別に民主党政権に限ったことではない。2001年から02年にかけて、ジョージ・ブッシュ政権時に財務長官を務めたオニール氏は、こう振り返っている。強いドル政策はおろかな概念だった、と。
強い国家は、強い通貨を持つ、という概念も強いドル志向を支えている。
なぜドル高が進行しているのか。それはより実質的な理由があるという。一つは、他の通貨と比べてドルが魅力的だからだ。ドルは米国経済と結びついており、その米国経済はより急速に成長しつつある。
さらに、金融面におけるサイクルが、他の先進諸国と分かれつつある。
さらに、ドルは安全資産としての魅力をアピールしている。スイスフランの混乱ぶりをみれば、ドルの安定ぶりは際立っている。
だが、こうしたことが、米国経済にとって本当に良いことなのか、という問題とは別であることだ。一つは、ドル高が新興国市場にネガチィブな影響を与えることだ。とくに、企業がドル建ての負債を抱えている国への影響が懸念される。
米国からの輸出もコスト高になる。
http://www.nytimes.com/2015/01/25/business/the-strong-dollar-is-always-good-except-when-it-isnt.html