英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ドル停滞を読み解く

 雨。

 プロジェクトシンジケートより。エラリアン氏。

 https://www.project-syndicate.org/commentary/dollar-depreciation-2020-short-and-long-term-implications-by-mohamed-a-el-erian-2020-07?barrier=accesspaylog

 これはルービニ教授。同じくドルについて議論している。

 世界の主要準備通貨の地位からすぐにも滑り落ちることは到底考えられないにも関わらず、ドルの急速な減価は現在のマクロ経済の文脈においていろいろ考えられている。だが、ドル覇権の地位を侵食する動きは、考えられているよりもずっとゆっくりしたものであり、ドル覇権の終焉はまだずっと先のことだろう。

 最近の急速なドル安は、世界の主要準備通貨の役割を失うのではないかというさまざまな関心を呼んでいる。結局、Fedによる積極的な金融緩和に加え、金価格の女王省やインフレ期待が上昇しているとの自称がこうした関心を呼んでいるのだ。

 しかし、マーク・トウェインの言葉を言い換えれば、ドルの衰退はあまりに大げさすぎる。足元のドル安は、短期の循環的な要素によって動かされている。長期でみれば、状況はより複雑である。ドルは強みと同時に弱みも抱えており、長期でみて世界基軸通貨の地位を守れるかもしれないし、そうでないかもしれない。

 主要な短期マイナス要因の一つが、Fedによる超金融緩和だ。米国政府の大規模な財政赤字とともなって、Fedの姿勢はより緩和的に映っている。

 ドルはリスクオンになるとドル安になるといわれる。同様に、反対のこともありうる。Fedコロナウイルスの感染拡大後、ほかの中央銀行とドルの通貨スワップを講じた。このことがドルの流動性を高めた。

 それ以外に、欧州などを含む先進諸国のいくつかと、いくつかの新興国がコロナ封じ込め政策を講じている。そのことによって、他の国々の経済回復はより強固なものになるかもしれない。

 コロナウイルス前のドルは、名目ベースでも実質ベースでも2011年以降でおよそ30パーセント以上増価していた。米国の経常収支赤字と、資本を海外から呼び込むにはさほど高くない金利を理由に、ドル安は米国の輸出競争力を回復させるには必要なものだった。同時に、米国が保護主義を志向していることが、ドル安というメッセージにつながった。

 https://www.project-syndicate.org/commentary/us-dollar-position-as-global-reserve-currency-over-short-and-long-term-by-nouriel-roubini-2020-08