英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

欧州QEのリスクは誰が負うのか

 今回のECBによるQEについて、分析が登場し始めた。ECBが目標としているインフレ率について、今後2年間は下回る可能性が高いこと、原油価格の下落がダウンサイドリスクを高めていることなどが示されている。
 グラフをみれば分かるように、ヘッドラインインフレーションはマイナスに。コアインフレ率も1パーセントを下回っている。
 期待インフレ率は徐々に切り下がっている。
 QEの構成も非常にクリアだ。焦点は2016年9月まで続けるとした資産の買取を延長する可能性があるかどうか。この点声明文は含みを持たせた。
 すでに購入を開始しているABSやカバードボンドの毎月100億ユーロの買取に加えて、国債を中心に500億ユーロを購入していく。
 買い取る国債の中身は、ECBの出資比率に比例するという。出資比率はGDPや人口比例で決められている。
 この結果、どの国が便益を受けるのだろうか。筆頭に来るのはイタリアだという。イタリアはECBの出資比率が3番目に大きい上、政府債務の残高も大きい。
 問題(悪魔)は細部に宿りたり。それはリスクシェアの詳細だ。今回の買取プログラムでECBが負うリスク分担の割合は2割。つまり残る8割は各国中央銀行がリスクを負う。
 つまり、国債の問題は結局、国境を越えない、ということだ。これはEUが財政同盟に進む追加手段について、重要なインプリケーションをはらんでいる。もし財政同盟に進むのであれば、各国の公的支出についてのコントロールを、各国主権から一定程度奪う措置が必要になる。
 http://www.voxeu.org/article/ecb-s-qe-decision
 ケインジアン批判。ケインジアンは2013年のリセッションを見誤ったではないか、という。クルーグマン教授らを念頭に置いた批判だ。
 確かに歳出削減や人頭税切り下げの終了は成長率を押し下げたかもしれない。しかし、その程度は0・5から0・8パーセントポイント程度に過ぎない。これをリセッションと言うには無理がある。
 http://economistsview.typepad.com/economistsview/2015/01/did-the-keynesians-get-it-wrong-in-predicting-a-recession-in-2013.html