英字紙ウォッチング

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一転、ドル安に

 晴れ。

 今週、ドルは昨年11月以来の下落に転じた。高騰していたインフレ率が落ち着き、投資家が将来の利上げを見込まなくなったことが大きい。

 金曜日のドル相場は比較的落ち着いた動きを見せていた。ただし、今週はドル安が加速し、8カ月ぶりの動きとなった。トレーダーらはFedによるさらなる利上げはなさそうだと見込み始めている。

 ドル以外の主要6通貨で構成されるバスケット対比で、ドルのインデックスは2.2%下落した。昨年11月に4.1%下落して以来のドル安進行である。消費者物価指数、および卸売り物価指数は6月よりも下落し、インフレ率が落ち着きつつあるというさらなる兆候が見え始めている。

 ドルの買いポジションは急速に蒸発しているという。UBSの投資担当者はドル安の継続を見込んでいる。英国ポンドや円、スイスフランなどはドル安に伴い、上昇すると見込まれている。

 投資家は大手銀行の最新四半期決算の結果を精査しており、株価は上昇に転じている。ベンチマーク指数であるS&P500指数は金曜日に0.1%ポイント下落した。しかし、週単位でみると、2.4%の上昇であった。ナスダックも3.3%の上昇である。

 67%の増益決算を受けて、JPモルガンの株価は上昇した。アナリストの事前予想を大きく上回った。ウェルズファーゴも増益だったが、株価は下落。シティグループは現役決算となった。ブラックロックの最終利益は27%の増益となった。

 今回の大手銀行の第2四半期決算は、春先に地方銀行が破綻し、銀行のバランスシートに高い注目が集まっていたさなかでの公表された。中央銀行の利上げに伴い、貸出金の金利引き下げが始まる中、銀行は預金金利の引き上げの圧力も受けていた。

 銀行決算で貸し出し部門の好調が伝わり、米国経済の力強さが確認された形になった。とくに消費者向けの貸し出し部門は全般的に健全な活動が確認されている。中小企業向け貸し出しも堅調である。

 米国経済はゴルディロックス的環境を維持しており、楽観論が広がっている。ただし、米国経済がいつリセッションに陥るのか、潜在的な売りへの関心も高まっている。

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