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「逆通貨戦争」の兆候

 曇り。

 中央銀行は通貨とインフレの高騰と闘おうとしている。「逆通貨戦争」の兆候をアナリストは指摘している。

 Fedによる大幅な利上げの連続は、世界の中央銀行に追随すべきか否かの圧力をかけ続けている。インフレと強いドルにどのように対抗すべきか、という課題である。

 今世紀に入り、各国の中央銀行は50ベーシスかそれ以上の利上げに適応する必要がある。物価上昇の圧力と米国金利の上昇に取り組むという課題をあらわにした。

 Fedの利上げと世界経済の先行きに対する懸念から、米ドルはすべての通貨に対して上昇している。国際市場で多くの商品がドル建てで価格付けされており、強いドルは輸入価格を押し上げることによってインフレ圧力を強める結果になっている。いわゆる「逆通貨戦争」とでも表現できる事態だ。

 カナダの中央銀行の動きは、市場を驚かせた最新の動きだ。水曜日に100ベーシスもの利上げを行ったのだ。1998年以降としては、G7諸国の中で一番大きな利上げ幅となった。フィリピンも続いて75ベーシスの利上げを行った。

 FTによると、6月までの3カ月間で、中央銀行による62の決定のうち、巣濃くなくとも55の中央銀行によって50ベーシス以上の利上げが行われた。つまり、世界的に金融引き締めのサイクルに入っている。

 「われわれは50ベーシスの利上げが普通になる、市場のピボットポイントを目撃している」というアナリストもいる。

 とくに外国為替市場にさらされる度合いの大きい中央銀行ほど、急激な対応を迫られている。ハンガリーがその一例である。とくに欧州の新興国経済で著しい。しかし、それは先進国でも同様だ。韓国は7月に50ベーシスポイントの利上げを迫られた。

 一方、市場は伝統的にハト派的なスイス中央銀行が今年後半まで利上げを待つとみていた。しかし、インフレと為替の動きによって、その動きが早まるかもしれない。

 ただし、金利の水準自体はコロナ対応もあって低水準だ。

 イングランド銀行とECBはまだ「50ベーシスクラブ」入りしていないが、いずれそうなる可能性がある。

 ユーロとドルはいわゆるパリティ状態になったが、ECBは7月21日に予定されている会合でまだ25ベーシスの利上げにとどめるとみられている。

 https://www.ft.com/content/d189b2f2-808a-4a9b-a856-234181f98c2f