英字紙ウォッチング

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イージーマネーの氾濫

 快晴。

 企業は世界の金融資本市場から12兆ドルもの巨額の資金を調達した。画期的な年になった。中央銀行による刺激策が株式や債券による資金調達のペースを後押しした。

 世界の企業は12.1兆ドルの資金を2021年に調達した。それは株式を売ったり、債券を発行したり、新たなローンを組んだりしたことによる調達である。コロナ危機からの急速な回復により、世界の市場をより高値に押し上げたことが後押しした。

 今年もあと数日しか残されていないが、 調達された現金はすでに2020年と比べて17パーセント近く増えている。このこと自体歴史的には記録的なことである。

 同時にこのことは、イージーマネーがいかに氾濫しているかを示している。特に顕著なのは米国で、5兆ドル以上が調達された。

 本当に大ヒットの年であるというのがBNPパリバLBOファイナンスを手掛けるバンカーだ。2022年もこの勢いは続くとみられている。このような狂気じみたペースで資金調達が進むと、普通は翌年はペースダウンすると見込むものだが、足元の勢いは非常に力強いという。

 目立った企業はEVメーカーのリヴィアンや韓国のイーコマース企業のクーパンなどだ。クーパンは今年、上場を果たした。

 10桁、もしくは11桁にのぼる巨額の資金調達も目立った。ディスカバリーとATTのワーナーメディアとの合併、カナダの鉄道会社パシフィックとライバルであるカンザスシティサザーンの合併がその例だ。およそ10兆ドルの規模がある社債市場は次から次へとディールの消化に追われた。

 各国の中央銀行による金融政策は借り入れコストを歴史的な低水準まで押し下げている。その結果、企業にとって資金調達の環境は非常に良好だった。

 高格付けの社債の販売は欧州や米国ではペースダウンした。代わりにその穴を埋めたのが、KKRやブラックストーン、アポロといったプライベート・エクイティだ。これらのファンドはトータルで1.1兆ドルをクレジット市場から調達した。 

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