英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

社債が景気後退の引き金を引く

 久しぶりのGavyn Davies。

 米国の社債市場がリセッションの引き金を引く可能性がある。企業の資金調達の脆弱さが、それ以外の経済を直撃する恐れがあるというのだ。

 主要国における非常に高水準かつ上昇中の社債市場が、中央銀行や規制当局をここ数年悩ませてきた。しかし、今に至るまで、これらの金融リスクを減少させる方向で直接政策が動いたわけではない。

 しかし先週、IMFは強い調子で警告を発した。行動するのは緊急を要しており、企業部門における金融的なメルトダウンが生じかねない、というんだ。

 主要な3つの経済圏のうち、ユーロ圏は現在のところ企業部門のリスクはもっとも小さいという。2012年のユーロ危機以降、過剰債務の問題に取り組んできたからだ。中国も政策対応が済んでいる。

 しかし問題は米国だ。企業の債務が急速に増えている。そして、Fedの利下げによってこのスピードが加速しかねない。

 表面的には、所得に対する債務の比率はピークに近い。しかし、それ以外のバランスシートやPL指標は悪くない。しかし、特に1兆ドルに及ぶレバレッジローン市場に注目が必要だ。

 というのも、企業のファイナンス状態は憂うべき状態にある。企業の利益が急速に下方圧力を受けている。

 利益成長率が鈍化しているのは、企業が金融面でより積極的な行動をとっているからだ。2019年に入り、自社株買いや配当、M&A活動を活発化させている。そして、より利益基盤の弱い中小企業にも広がっている。

 Fedのブレイナード理事は9月の講演で、企業セクターの金融面での脆弱性が急速に高まっていると警告した。そして、11月に、銀行に対して「カウンターシクリカルバッファー」を発動するかどうか、検討すべきだと述べた。

 https://www.ft.com/content/a8cda6f4-f01c-11e9-ad1e-4367d8281195