英字紙ウォッチング

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国債の質理論

 米国債の価値とは何か。それは何を買っているのかを考えることを意味する。

 米国政府は毎年、国債発行額を増やし続けている。しかし、国債金利は低下の一方だ。これは国債発行者としては勝利を意味している。

 しかし、なぜ金利が低いまま発行できているのか、その理解がないと、金利が再び上昇したときに理由を解明できない。それは世界最大の米国債保有者であるFedのパウエル議長にとって、切実な問題になるだろう。

 1991年に戻ると、このとき財務省国債発行を定期的にし、予測可能な状態にした。1970年代に財務省は入札のカレンダーを明確にした。1980年代半ばには、米国債の取引をより簡単にするために、会計システムも整えた。

 目標は国債購入をより魅力的にし、借入コストを下げることだった。イラク戦争やアフガン戦争が起きても、債券価格は動かなかった。

 国債市場がより奥深く、流動性を高めていくにつれ、国債の価値について考えることをなくしてしまった。

 今年に入り、スタンドフォードのLustig教授らが、米国債の価値づけの方法について研究した。彼らは低金利の理由を2つ挙げた。1つは、投資家が米国は財政収支を改善させるために増税し続けると信じているというものだ。2つめは、合理的バブル説。国債を特別視する考えだ。投資家は他の債券と違う形で国債を評価しているゆえに、低金利が引き起こされているものだ。

 後者の説明は規制当局にとっては都合がいい。当局は国債のリスクをゼロとみなすよう、銀行を指導しているからだ。

 もし、米国債のリスクフリーの性格は今後も失われないと考えるのであれば、市場に制約は何ら存在しないということになる。

 https://www.ft.com/content/b537d3d9-a7ae-4ca7-a086-4d630e7d049b

 サージェントによる関連論文。米国の借り入れ限界についての歴史。

 https://www.nber.org/papers/w21799