英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

バイデンの賭け

 晴れ。

 イギリスで女性が警官に殺害された事件が起きた。この事件に抗議する集会がコロナ禍の中に開かれた。徹夜の抗議集会に対し、首都警察は厳しい姿勢で臨んだが、内務省のパテル大臣は完全な報告を求めた。政府はこの事件の対処方針について批判を浴びている。

 労働党の党首のスターマー氏は数百人の人々が追悼のために集まった集会が、深く妨害されたと指摘している。

 内務大臣はこの集会で何が起きたのか、完璧な報告を首都警察に求めた、と述べた。被害者であるサラ・エバラードとその家族、友人への同情を表明した。

 コロナウイルスを理由に徹夜の集会を禁止したにも関わらず、多くの群衆がクラプハム・コモンに土曜日、集まった。被害者の女性が行方不明になった場所から半マイルしか離れていない場所だ。

 群衆は大半が女性で、静かに集まった。多くの女性が男性によって自身の安全や感情などが脅かされたと感じていた。しかし、SNSに投稿された動画によると、野外スタジオから少なくとも一人が警官によって強制的に連れ出される様子が映っている。

 https://www.ft.com/content/114c2842-a062-4232-9b44-fd7a00369904

 バイデン大統領による1.9兆ドルの財政刺激策が議会で成立した。その大きな賭け。

 コロナの感染が広がったとき、今後数年の世界経済は停滞に陥ると予想するには自然なことであった。しかし、米国はそうした悲観主義を裏切りつつある。

 昨年夏の時点で経済見通しは暗かったが、財政支出というロケット燃料が点火され、経済は上昇しつつある。昨年12月以降のコロナ関連対策を合わせると、今回の1.9兆ドルの財政支出が決まれば、総額は3兆ドルに及ぶ。

 FRBなどは今年に入り、すでに2.5兆ドルの資金を銀行システムに注入した。金利はゼロに近い。2007年の金融危機以降、アメリカの経済政策担当者は臆病だったが、今回は全速力で突っ走っている。

 2021年1月の全米の小売業売上は前年同期比で7.4%増加した。レストランや映画館などで消費することができず、消費者は1.6兆ドルもの貯蓄をたくわえている。バイデン氏の刺激策はこれに加えて、一人あたり1400ドルの現金を配る。ワクチンが人々の間にいきわたり、変異種の到来に対応できるのであれば、失業率は年末には5%以下まで下がるだろう。

 良いニュースは米国だけに限ったことではない。製造業指数は欧州でも好調だ。

 米国の貿易赤字はコロナ前より50パーセントも多い。4月~9月に限ると、米国の経済成長は中国を上回るペースである。

 https://www.economist.com/leaders/2021/03/13/joe-bidens-stimulus-is-a-high-stakes-gamble-for-america-and-the-world