晴れ。
ヘリマネの足音。
コロナウイルスの拡大は、人々の命だけでなく、より微妙な犠牲者を出しつつある。それは通常の経済政策の考えにおいてはタブーとされている考えである。
過去1週間のうちに、ラディカルとされる経済的な提案が出てきた。過去数年では最大の財政的な支援策は、あまりに規模が小さいとされるようになった。
英国において財政規律を監視してきた団体のトップは、短期の赤字は気にしなくてよい、と述べるようになった。戦時期であるから、というのがその理由である。
その結果、純粋に理論的な可能性があるとして議論されてきたような政策が、実際の政策の中心舞台に躍り出ている。
これら非常時の政策としてもっとも重要なものが、ヘリコプターマネーの議論である。紙幣を刷り、それをすべての人に手渡すのだ。
CEPRのマウロ氏は、主流派の経済学は、コロナウイルスによってすべての人の職や所得が失われないようにすべき、という方向に急速に近づいていると述べた。しかし、これらの政策は非常にコストがかかることも指摘している。
英国のアデア・ターナー氏は2009年の規模で財政赤字が生じることを受け入れなくてはならないだろう、と述べた。
そして、仮にヘリマネを導入する場合、2つの別々の問いが出てくるという。一つは、刺激策の財源をどのように確保するかだ。もう一つは、これらのお金をどのようにして配るかだ。前者については、中央銀行が直接国債を引き受け、財政ファイナンスに踏み切るべきか、ということにつながる。
中央銀行の財政ファイナンスという論点に関しては、すでに新たな大規模QEによって、その領域に踏み込んでいる。欧州では共同で「コロナ債」を発行すべきだという意見もある。そして、ECBがこうした資金コストを低位に抑えるべきだという意見がある。
エコノミストの中にはすでに、おおっぴらに中央銀行による政府赤字の引き受けを主張する向きがある。ターナー氏はまさにその主張者で、今こそ財政ファイナンスに踏み切るときだと主張する。
中央銀行による財政ファイナンスの主張は、元FRB議長のバーナンキ氏が主張したことで人口に膾炙した。
https://www.ft.com/content/abd6bbd0-6a9f-11ea-800d-da70cff6e4d3