英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

現代金融理論はブードゥー経済学か

 曇り。

 サマーズ氏。左派が支持するMMT、現代金融理論はなぜ災厄になるといえるのかと題し、最近経済論壇をにぎわせているMMTをコテンパンにこき下ろしている。

 この場面は以前に見たことがある。経済のパフォーマンスに対する不満が広まり、伝統的な政策には希望が持てないとの受け止めが広がっている。不人気の大統領は不満がたまった野党に相当嫌われている。そして、経済の条件が変わり、伝統的な考えを相当打ち破るようにな、新しい経済学のアイデアに引きずられてしまう。

 今や、これらの新しいアイデアが過度に単純化され、ことわざ通りにフリーランチを提供できると称する少数派経済学者が誇張している。つまり、だれの負担もなしに、政府は今より多くの支出をする能力があるという主張である。

 1970年代はこの少数派経済学者の主張にあたるものは、サプライサイドにあった。ラッファーカーブ経済学といわれるものだ。この考え方は、税金にはインセンティブ効果があり、ある特定の状況下では、減税は税収を増やすことがあるという主張である。そして、この考えは、減税は常にその減収分を賄うことができる、というバカげた考えに発展した。そして、不満のたまった極端な勢力によって政策として採用されるに至ったのだ。

 ブッシュ氏が1980年に、こうした考えをブードゥー経済学、と呼んだのまったくもって正しい。MMTと呼ばれる考えも現代のサプライサイド経済学といえるであろう。 

 実質金利が低い時代には、伝統的な財政政策のタブーを再考すべきだ、という主張が少数派の経済学者により、ばかげた主張となって登場するようになった。経済の負担なしに、中央銀行ファイナンスすれば雇用を保証できる、という主張である。

 MMTはさまざまなレベルで虚偽の主張を伴っている。まず第一に、この理論は、コストゼロで政府は赤字をファイナンスできると主張している。第二に、政府はデフォルトなしに、あるいは償還に対応できるだけの新しいマネーを単純に創造できる、という主張だ。3つめは、MMT論者は閉鎖経済を想定している。しかし、彼らの主張通りのことを行えば、為替相場は崩壊してしまう。

 https://www.washingtonpost.com/opinions/the-lefts-embrace-of-modern-monetary-theory-is-a-recipe-for-disaster/2019/03/04/6ad88eec-3ea4-11e9-9361-301ffb5bd5e6_story.html?noredirect=on&utm_term=.913cfae6e492

 VOXコラムより。不況期に実行された財政再建策は、生産性にマイナスの影響を与え、中期的な成長を引き下げる影響を持ったと分析している。もし財政再建を実行するのなら、それは債務のコストを素早く減少させることができるときのみに実行することが望ましいという結論を導き出している。

 先の債務危機の当時、スペインやアイルランドポルトガルギリシャの各国は財政緊縮プログラムを実行した。増税を行い、歳出を削減したのだ。これは従来の不況期におけるケインズ的アプローチとは対照的である。

 彼らのモデルでは、財政緊縮は中期的に資本投資を阻害し、新しいテクノロジーを採用した投資も阻害してしまうという。

 https://voxeu.org/article/slow-recoveries-through-fiscal-austerity