英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

日米通貨戦争

 今日も快晴。
 米国と日本が為替政策をめぐって対立を続けている。財務相中央銀行総裁たちは2日間の会合を終えたが、バランスのとれた政策ミックスについて、合意は得られなかった。
 東京とワシントンはこれ以上の円の上昇を遅らせることについて意見が衝突している。日銀による緩和政策に象徴されるように、円安はアベノミクスのキーエレメントだ。しかし、通貨は1月以降、円高方向に振れている。
 土曜日には麻生大臣とルー財務長官が非公式に会談した。麻生大臣いわく、市場では一方的かつ投機的な取引がみられると述べた。そして、過去数週間に起きたことは秩序だった動きだとは言えない、と述べた。
 しかし、米国側は日本の為替市場に関する評価について、同意しなかった。
 ルー財務長官は記者会見でG7やG20の為替市場に関するコミットメントは重要であると強調した。
 これに対し、麻生大臣は、大統領選やTPP条約の批准をめぐり、ドル円相場は政治的な問題になっていると述べた。
 一方、G7内ではインフラ投資の重要性について多くの国の意見が一致した。しかし、具体的な政府支出の増加についての合意はなかった。とくにドイツのような国との意見の違いが目立った。こうした意見の違いがあることから、共同声明は出されない見通しだ。
 http://www.wsj.com/articles/u-s-japan-clash-over-yen-policy-at-g-7-meeting-1463833222
 コチャラコタ氏。米国や先進国経済をどのようにマネージするのか、4つの流派がある。Fedをはじめとした中央銀行家にとって難しいのは、どの流派が正しいのかわからないことだ。
 最初のグループは中立派だ。インフレ率が低く、安定している限り、中央銀行は雇用や経済成長に短期かつ温和な影響しか及ぼすことはできないという。メディアは金融政策にあまりに注目しすぎであり、経済をどのように生産的なものにしていくかという重要な問いを無視しがちだ。
 2番目のグループはインフレ主義者。雇用の需給はタイトになっており、いずれインフレ圧力が高まって、中央銀行はコントロールするのが難しくなるとみる。金利の変更が効果を発揮するのには時間がかかるので、Fedはすでにビハインド・ザ・カーブに陥っているとみる。
 3番目はバブル主義者だ。中立派のように、金融政策の実効性について懐疑的だ。インフレ率は技術的、人口要因に左右されるとみる。
 最後のグループは隙間主義者とでもいうべき存在だ。経済活動はインフレを加速するレベルを下回っているとみる。今後もインフレ率とインフレ期待は低位にとどまるので、中央銀行は新たな刺激策を追求すべきだと説く。具体的にはマイナス金利政策や直接的な中央政府ファイナンス策だ。もし中央銀行が必要とされる刺激策を打ち出すことができないのなら、財政当局がその代わりに行動すべきだと説く。これは中立派やインフレ主義者の反発を買いそうな主張である。
 問題はこの4つの流派の誰が正しいのかだ。コチャラコタ氏自身は、4つの主張どれも明確に過ちだとは言えないという。政策担当者は4つの主張はすべて正しい前提で行動しなければいけないことを意味する。
 たとえば、中立派のいうように、経済の長期の潜在成長率を高めるべきだ、という主張は正しい。
 また、インフレは差し迫った問題でありうる。
 うーん、結局どっちつかずのような結論だ。
 http://www.bloomberg.com/view/articles/2016-05-20/four-ways-to-think-about-the-economy